最も重視しているのは、曲の世界観を引き出すこと
──まずはグループのコンセプトを教えていただけますか?
もな 私たちファントムシータは“レトロホラー”をコンセプトにした5人組グループです。Adoさんが開催したオーディションを経て、このメンバーが選ばれました。プロデューサーもAdoさんです。モチーフは“蛾”。現在のアイドルが“蝶”のような存在だとすれば、私たちはそんなアイドル業界にとっては異端な存在である“蛾”なのです。美しくも、儚い、そして少し懐かしい昭和テイストの恐ろしさも内包したレトロホラーアイドルです。
──レトロホラーというのは聞き慣れない単語ですけど、具体的にどんなイメージになるのでしょうか?
美雨(みう) レトロホラーと最初に聞いたときは、正直、私たちもどういうことかピンときませんでした。説明が難しいですよね。「ズバリ、これ!」と1つの言葉には納まりきらなくて……。私たちの曲にはいろんなジャンルがあるんです。強いて言葉にするなら、「潜在的に存在する狂気」「奥底にある闇」といったところでしょうか。
──実際、みなさんもホラー作品が好きだったりするんですか?
灯翠(ひすい) 私はもともとホラーのファンでした。特に伊藤潤二先生のホラー漫画が大好きでして、ファントムシータの楽曲は自分の好みにピッタリハマりました。ですから、レトロホラーという大好きな世界観で表現できて嬉しいというのが今の気持ちです。
──まさかホラー好きが仕事に活かせるようになるとは想像もしなかった?
灯翠 そうですね。ホラー漫画だけじゃなく、ホラー映画ももちろん好きなので、そういった作品で自分がゾクッとした感覚をパフォーマンスの表現に落とし込むようにしています。
百花(もか) レトロホラー以外で注目してほしいのは、一人ひとりの表情。同じ曲を歌っていても、5人の表情や歌声がバラバラなんです。メンバーそれぞれの表現やパフォーマンスに目を向けていただければ、より楽しんでいただけるのではないかと思います。
凛花(りんか) ファントムシータが最も重視しているのは、その曲の世界観を引き出していくこと。曲の主人公になって、表現者として歌で伝えていくような感覚です。実は、メンバーごとに同じ曲でも少しずつ歌詞に対する解釈が違っていることもありまして。さっき百花も言っていましたが、歌い方や声色が5人とも違うのはそういうところも影響しているのだと思います。
──そもそも5人はどういった経緯でオーディションを受けたんですか? それぞれ簡単に説明していただけると助かります。
凛花 歌と踊りは小さい頃から好きでした。ダンスはずっと習っていましたし、歌も一時期は毎日のようにカラオケに行っていました。そこでAdoさんの曲を歌っているうちにすごく影響を受けたんです。そんなときにAdoさんがオーディションを開催するというニュースを目にしたので、受けてみようと決意しました。
百花 小さい頃から歌とダンスが大好きで習っていたというのは、私も凛花とまったく同じです。音楽はJ-POPやK-POP、洋楽など幅広く聴くほうでしたが、Adoさんの衝撃が大きくて。
──Adoさんの何が百花さんにとって衝撃だったのでしょうか?
百花 色々とありますが、中でもAdoさん自身の表現力の凄さに惹かれました。1曲の中でも声色やキャラクターが全然違ったりしますし。世界観に入り込んでパフォーマンスするAdoさんがカッコいいなと思いまして。
灯翠 私は音楽でいうと、いわゆるダーク・ポップと呼ばれるジャンルが好きでした。アーティストでいうとサブ・アーバンさんとか。単調で低音が効いていて暗い感じの曲調にハマってしまいまして。もちろん日本のアーティストでも好きな方はいますが、どうしてもアングラチックなサウンドに惹かれてしまうんですよね。それに加えてこのグループはレトロホラーというコンセプトだったので、もう私が大好きな世界。ここに入れたら、自分の人生が変わるのではないかとワクワクしながら応募させていただきました。