飯田譲治監督は子どものような無邪気さのある方

――和田さんが主人公の赤城勇太を演じる放映中のドラマ『神様のサイコロ』ですが、オファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。

和田雅成(以下、和田) 最初にプロットをいただいたんですが、まずどうやって撮るんだろうと想像がつかなくて。アフリカの少数⺠族に伝わる魔術の人形「ブアウ」や、黒魔術の儀式を行う祭壇など、非日常的なものが出てくるから、チープに見えたら嫌だなと思ったんです。ただ現場に入って、実際のセットや小道具を見させていただいたときに、さすがプロの方々の仕事で、すごくリアルだったので杞憂に過ぎなかったです。

――初めて脚本を読んだ印象はいかがでしたか。

和田 起承転結の“転”がめっちゃ転がっていくので、毎回続きが気になってワクワクしました。赤城に関しては、配信グループ「ファイブカラーズ」5人の中で一番子ども。興味のあることを、どうしてもやらずにはいられないんです。他の4人のキャラクターの個性が立っているので一番普通というか、みんなより驚くし、みんなより一喜一憂する無邪気な青年だなと思いました。

――そもそも和田さんはオカルト的なものに興味はありますか?

和田 全くないです(笑)。というのも、あまり信じないタイプなんですよね。たとえばファイブカラーズのように黒魔術の儀式をやったとしても、ドラマのように何かが起こっても嫌だし、起こらなくても嫌じゃないですか。それに僕は、すごくビビリなんですよ。もしかしたら怖いから、無意識に興味を持たないようにしているのかもしれません。

――原作・脚本も手掛けた飯田譲治監督はどんな方でしたか。

和田 まだ『神様のサイコロ』のキャストが僕しか決まっていなかった段階でお話しさせていただいたんですが、まさに赤城のような無邪気さがあって。飯田監督の過去作も幾つか観させていただきましたが、子どものような好奇心が、面白い作品を生み出す所以なんだろうなと感じました。赤城に自分を投影して脚本を書いているところもあるのかなと思ったので、飯田監督を観察して、ファイブカラーズの中でのバランスを考えながら役作りをしました。

――事前に飯田監督から、こうやって赤城を演じてほしいみたいな指示はありましたか。

和田 役作りに関しては、自由にさせてくれました。ただ撮影初日に感じたのは、映像と舞台の芝居を分けて欲しいのかなと。僕と(曽野)舜太の二人のシーンから始まったんですが、かなり細かいディレクションがあったので、こだわりを感じました。

――ファイブカラーズの5人は、それぞれジャンルの違う配信者で、儀式を行うときも、5人それぞれがカメラを回しています。さらに5人の姿を収める女性ディレクターのカメラ、それを俯瞰する定点カメラなどがあって、様々な視点から事態を捉える複雑な構成です。

和田 実際に僕らが胸に装着したハンディカメラで撮影した映像を使っていますし、一つのシーンをたくさんのカメラで撮影しているので、完成した映像を観たときは斬新だなと感じました。

――脚本の段階で、自分たちの映像が使われることは分かっていたんですか。

和田 現場に行ってから知りました。ハンディカメラの映像はワンカットの長回しなので、どういう風に使われるのか想像もつかなかったです。下を向き過ぎると相手の顔が映らなくなるので、不自然にならない程度に胸を張るようにという話は事前にしました。

――第一話でファイブカラーズがリモート会議をするシーンも、普段の撮影とは勝手が違ったのではないでしょうか。

和田 実際には4人の映像を観ない状態で撮影しているので、みんなの表情も分からないし、テンションを合わせるのが難しかったですね。ただ実際にリモートってタイムラグがあるので、リアリティがあって良かったと思います。

――撮影はスムーズに進みましたか。

和田 事前にリハもやっていたのもありますが、すごくスムーズでした。一応、撮影時間は余裕を持って取ってあったんですが、飯田監督が納得できれば次に進むので一発でOKというシーンが多くて、初日は8時間巻きでした(笑)。飯田監督が思い切りの良い方で、駄目なときハッキリ駄目と言ってくれますし、カットがかかった後のディレクションも迷いがなくて。約一か月の撮影期間だったんですが、ほぼ押すことなく順調でした。

――ライブ感が大切なドラマですしね。

和田 そうなんですよね。何度も撮り直しをするとライブ感が失われますし、セリフを噛んだり、何かトラブルがあったりしても、たくさんカメラを回しているので、上手く映像を切り替えることができるんです。おそらく飯田監督の頭の中では、その画も見えていたんでしょうね。