アニメ『らんま1/2』EDテーマ『パンダガール』では「作品にしっかり浸りたい」

――新曲『パンダガール』は2025年10月期スタートのTVアニメ『らんま1/2』のEDテーマに。アニメには、なじみがありましたか?

にしな 兄弟が漫画やアニメ好きで、身近にある名作でした。ラブコメですけどバトルもあるし、物語では性別が変わったりとLGBTQの先がけのようにも感じます。根本ではシンプルな恋心や人としての葛藤があって、人間らしさを感じられる印象もあったんです。歴代の素晴らしいテーマソングに並びますし、私も「らんまらしい作品を」と考えて、曲を作りました。

――にしなさんの考える「らんまらしさ」を、新曲ではどのように表したんでしょうか?

にしな 私の中にあった「1/2感」を大切にしました。恋愛や友情といった人間関係の中で、それぞれが持つ相反する気持ちに目を向けて、ドキドキやハチャメチャの要素も入れながら、全体としては楽しい気持ちになれるように仕上げました。上手くいかない気持ちの裏返しや、素直に伝えたいのに伝えられないもどかしさは私もありますし、自分の感情も曲に写しました。

――そんな感情も込めた歌詞の中で、特に自分の心にも刺さるフレーズを選ぶとしたら?

にしな 「砂鉄みたいな胸のざらつき」です。小学校の時に磁石に砂鉄をくっつける実験があったのを思い出して、ざらざらした人の感情と重なると思いました。引き寄せられたり、反発しあったりするマグネット的な関係の中で、砂鉄で感情を言い換えられたのは可愛くてお気に入りです。

――編曲はボカロPで作曲家の100回嘔吐さんですが、メロディの完成までにはどのようなやりとりがあったのでしょうか?

にしな まず、私が弾き語りのデモを作ってお渡しして、一緒に組み立てていきました。アニメの世界観にもある中華感を音でどう表現するか、ドタバタ感を過不足なくどう入れるかなど、細かく相談しながら作りました。

――今回のようなタイアップ曲の実績も豊富ですが、テーマの決まった曲づくりにおける意識は?

にしな オリジナル曲とは違います。作品によっては、あまり原作に寄せすぎないようにしますが、『らんま1/2』に関しては作品にしっかり浸りたいと思いました。普段なら照れて使わないような言葉も、タイアップだからこそ素直に表現できました。

――1歩引いて、といいますか。自分の曲も、新鮮に感じられそうですね。

にしな アニメがあってこそ書けた曲だと思います。制作直後は作品との距離が近すぎて、わからなかったのですが、時間を置いて聴くと、私自身もリスナーとして楽しい気持ちになれて、そんな曲が書けてよかったと思いました。

――にしなさんとも重ねながら、リスナーさんには『パンダガール』をどのように聴いてほしいですか?

にしな 次回が楽しみになるエンディングテーマになっていたらうれしいです。日常では、リスナーさんの気分が上向いたり、心が弾むのであれば私も幸せです。