『仮面ライダーガヴ』の締め括りにふさわしいと自信を持って皆さんにお届けできる作品
――改めて2024年9月1日から1年間に渡って放送された『仮面ライダーガヴ』を振り返って、どんな1年でしたか。
日野友輔(以下、日野) 右も左も分からないところから始まって、辛木田絆斗 / 仮面ライダーヴァレンという役と作品とともに成長させていただいた1年でした。本編に加えて、映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』(25)、『仮面ライダーガヴ ファイナルステージ』を通して皆さんが盛り上げてくださったからこそ、今回のVシネクスト『仮面ライダーガヴ ギルティ・パルフェ』があると思います。『ギルティ・パルフェ』は、僕の中で絆斗としての決意であり集大成。この1年間、たくさん絆斗は苦労してボロボロになったからこそ、最後に絆斗のかっこいいところを観ていただけたらなという思いがあります。

――まさに“ボロボロ”が極まっていました(笑)。
日野 絆斗なので、ただただかっこよく強いわけではないんです(笑)。
――実質的に『ギルティ・パルフェ』は日野さんがメインを張っています。
日野 正直、「やっとか……」と(笑)。一回くらいは絆斗が主役の作品があってもいいじゃないかと思っていましたから。もちろんプレッシャーはありましたが、撮影中よりも、完成した作品を観るまでの期間が一番不安でした。これだけ『仮面ライダーガヴ』が盛り上がっている中で、ヴァレンがメインの『ギルティ・パルフェ』だけ盛り下がったらどうしようとか、いろいろ考えたんです。でも完成した作品を観て、『仮面ライダーガヴ』の締め括りにふさわしいと自信を持って皆さんにお届けできる作品になりました。
――最初に『ギルティ・パルフェ』の脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか。
日野 僕自身、絆斗に埋め込まれたグラニュート器官が、どういう落としどころになってくるのか気になっていたので、そこをしっかり描いてくださった脚本の香村純子さんに感謝でした。新フォームが登場するのもワクワクしました。絆斗が28話で「弱い人間のまま強くなる」と言い切りますが、その時に心底かっこいいと思いましたし、人間としての生き様を感じました。そう言い切ったがゆえに、新フォームを出すのは難しい流れになっていたところで、満を持して出せるのもうれしかったですね。それと同時に、絆斗を描くには怪しいメガネの研究者が欠かせないということで、個人医院「狩藤医院」の院長・狩藤綾巳が登場します。それを演じる事務所の大先輩、新木宏典さんと共演できるのが楽しみでした。
――新木さんとは今回が初共演だったそうですね。
日野 はい。2人きりのシーンを始め、ご一緒させていただくところが多かったので、自分から積極的にコミュニケーションを取ろうと思っていました。とはいえ最初は緊張していたんですけど、新木さんが優しく声をかけてくださったおかげで、楽しく撮影できました。
――新木さんから学んだことはありますか。
日野 コミュニケーションが増えていくと、役柄やストーリーについてお話しすることもあったのですが、それ以上に背中で学ぶというか、一緒にお芝居をさせていただく中で感じるものがありました。たとえばドライ(ドライ・リハーサル)で、監督に自分の考えたお芝居を見せた後の、現場でのやり取りから生まれたものに対する対応力など、たくさん学ぶところがありました。
――新フォームについてはいかがでしたか。
日野 マントに憧れがあったので、マントが出てくると知った瞬間、「かっこいい!」と思ったんですが、かっこいいだけで終わらないのがヴァレンで。アフレコの時も、さすがに最終フォームになった後はかっこよく行くだろうと思ったら、さっそく敵にマントを踏まれて(笑)。柴﨑貴行監督からは、「いつも通り面白くやって」と言われました。面白さとかっこよさのバランスを取りつつ、必殺技は頭突きというヴァレンのファイトスタイルを踏襲していて、僕の中でお気に入りのフォームになりました。

――特にお気に入りのシーンを教えてください。
日野 僕的に胸熱のシーンはたくさんあるのですが、一つ挙げるとするなら、小松利昌さん演じる師匠(絆斗の師匠であるフリーライターの塩谷壮士)との出会いのシーンです。テレビシリーズの1年間、師匠との思い出をフラッシュバックするお芝居をする時に、小松さんが6話までに残してくださったものをトリガーにするくらい、素敵な師匠を演じてくださったんです。それを経験した後にもう一度、まだ何も知らない頃の絆斗として師匠と対峙した時に、とてもグッとくるものがありました。そこのシーンは大きな見どころです。
