DJ兼マニピュレーターは国内でも希少な存在

――前回の連載では、1stアルバム『WCMTW』を引っ提げてお二人が全国ツアーを回ろうとしていた矢先に、コロナ禍の影響で活動がストップしたところまでお話を伺いました。当初はライブDJとして参加したKOTAさんが、よりCoreさんとコミットするようになった経緯をお聞かせください。

Novel Core 2020年10月にBMSGからメジャーデビューをして、次第にライブが増えていって。ちゃんと自分のライブに価値を感じてもらって、チケットを買ってもらう形を作りたくて。一旦クラブからのオファーを全てパスしたんです。その代わりにワンマンをやったり、ツアーを組んだりするようになって、KOTAくんとライブのやり取りをすることが増えました。そうすると1時間以上のセットを組むことになるので、ビートをいじる必要性も生じて、「この曲のイントロを作ろうよ」とか、「ライブ用のエディットを施そうよ」とか、KOTAくんのDTMスキルが発揮される場面も増えました。それまでは僕の声だけがマイナスされているマイナスワンのバッキングトラックを流してもらって、そこにサンプラーを打ってもらう程度の打ち合わせしかなかったんです。でもBMSG発足以降は、ライブ用にビートにエディットを施すことが増えました。夜中にKOTAくんとBMSGの最初の一軒家の事務所に集まって、二人でパソコンを突き合わせながら、「A GREAT FOOL」のバンドイントロを作ったのをすごく覚えていますね。

DJ KOTA 朝までやっていたもんね。

Novel Core 今と比べたら、お互いにスキルも知識も天と地ほど差があったので、15秒のイントロを作るのに3時間もかかっていたんです。

DJ KOTA ちょこちょこ他のラッパーのエディットもやってはいたんですが、数える程度でしたからね。でも絶対にやっておいたほうがいいなと思っていましたし、純粋に楽しかったです。

――その3時間で、どういう試行錯誤をしていたんですか。

Novel Core 「A GREAT FOOL」を例に挙げると、各楽器がバラバラになっているステムデータを二人で開いて、「サビ中のここだけを持ってきて、そのままだとドラムが重いから、バースでループしているドラムを裏に持ってきて、貼り付けよう」みたいな作業をしていて。ある意味、古典的なヒップホップの作り方ですよね。そこから次第に「ベースを打ち込もうか」とか言って打ち込むようになって。そこにバンドも入ってくると同期になるので、マニピュレーションが必要になる。そこで別にマニピュレーターを立てるよりも、DJがシーケンスを出している以上は、同時にマニピュレーションもできたほうが、いろいろ理にかなう。それでKOTAくんに相談したら、「やるよ」と即答してくれて。あの時が初めてのマニピュレーションだよね?

DJ KOTA そうそう。その時の電話は覚えている。マニピュレーションは専門学校でも学んでいないし、そもそも学校で教えていた先生も、ビートメイクを学びに来た生徒がマニピュレーションまでやるとは思ってないからね。

Novel Core まるで違う作業なので、すごく難しいし、それまでの100倍くらいカロリーがかかる。かなり悩んだんですけど、当時のチームの予算感、自分の売り上げなどを考えた時に、別にマニピュレーターを立てて、そこにかかるオペレーション費を考えると、正直やっていけない状態でもあったんです。それでチーム内で、マニピュレーションとDJが両方できる人を別に探さないといけないという話も出たんですが、僕は絶対に自分の後ろに立つのがKOTAくんじゃなきゃ嫌だったんですよね。それでKOTAくんに電話をしたんです。今後、武道館で単独をやるとなったら絶対にバンドでやるし、そうなった時にバンドでのDJは別の人で、DJとツアーを回る時だけKOTAくんというのは嫌だったんです。

――独学でマニピュレーションを覚えていったんですか。

DJ KOTA DTMはやっていたので、DAWには触れていたんですが、Coreと秋葉原のスタジオノアに入ってやってみても、なかなか音が出なくて、二人で模索していました。大きかったのはHIRORONさん(SKY-HIを始め、BMSG所属アーティストのライブなどでDJ兼マニピュレーターを担当)の存在だよね。

Novel Core うちのPAチームの杉ちゃんとHIRORONさんには、かなり力を借りたよね。そもそも日本国内でDJとマニピュレーションを両方やっている人は少ないんですよ。

DJ KOTA おそらく5人くらいしかいない。たまたまHIRORONさんが近くにいたからできたんです。

Novel Core  HIRORONさん、KOTAくん、僕の3人でマニピュレーション教室みたいなLINEグループができたもんね。DAWソフトも変わってくるんですよ。それまで「Logic Pro」しか使っていなかったところに、マニピュレーションに適した「Studio One」というDAWソフトを使うことになって、画面丸ごと違うし、コマンドも違う。だからHIRORONさんのスタジオに行って、一から教わりました。

DJ KOTA 機材も買い足しながらやっていましたね。

――練習を重ねても、ステージに立つと、また違いますよね。

DJ KOTA 最初はめっちゃ緊張しましたし、ミスもいっぱいしてきました。

Novel Core 忘れもしないのは2022年に初出演した「サマソニ(SUMMER SONIC)」で。同じ日にBE:FIRSTも出演していたので、お客さんもパンパンの幕張でライブをやって。4、5曲目くらいで音が止まってシーケンストラックが走らなくなって。パソコンを再起動したりとか、いろいろあったよね。

DJ KOTA そもそもクリックもめちゃめちゃになっていたし。

Novel Core 時間も3分くらい押して、自分たち的には苦い思い出になったんですけど、そこからKOTAくんの凄まじい追い上げがあったんです。その一か月後に初の「BMSG FES」が富士急ハイランドコニファーフォレストであって、マニピュレーションにプラスして、後ろに出るLED映像と、KOTAくんの手元から出るシーケンストラックを同期させる必要があって、タイムコードを別で入れなきゃいけなかったんです。それもまた別の作業なんですが、あのプレッシャーの中で音が止まることなく、ちゃんとクリックも走った状態で2公演を終えた時の、KOTAくんの安堵の表情は今も忘れられないです。

――1回の経験値がとんでもないですね。

DJ KOTA そうなんですよ。初めてのサマソニは8千人くらいの前でやって、BMSG FES は1万5千人×2公演だったので、とんでもない環境でした。