年下組の私と綱啓永くん、年上組の筧美和子さんと中島歩さんとのバランスが良かった

――現場の雰囲気はどんな感じでしたか。

莉子 筧さんと中島歩さんが年上組で、私と綱啓永くんが同世代で年下組、そこのバランスが良かったのもありますし、筧さんと中島さんの人柄が本当に良くて、休憩時間も気軽に話しかけてくださいました。

――3人とも初共演ですか?

莉子 そうです。綱くんは共通の友達がいるんですけど、共演は初めてでした。

――それぞれ共演した印象を教えてください。美容室で働くむっちゃんの先輩・グリコを演じた筧さんはいかがでしたか。

莉子 穏やかな方で、コミュニケーションが自然で、常に話しかけてくださるんですけど、その居心地がすごく良くて。美容師の先輩・後輩という設定そのままの優しい先輩で、その関係性で撮影に入ることができました。

――グリコの元カレで、途中からむっちゃんに思いを馳せるモー役の綱さんはいかがでしたか。

莉子 普段から綱くんはハッピーで、朝から夜までテンションが高いんですけど、現場でもそのまんまでした。私の4個上なんですけど実年齢よりも感覚が若いので、同じ目線で会話できるというか。テンション感が合って、仲良くさせていただきました。お仕事の面ではしっかりしてらっしゃるので、そういうギャップも素敵な方でした。

――映画の序盤、むっちゃんとグリコが働く美容室にモーが現れるシーンで、何度もモーが扉付近で傘を引っかけてしまい右往左往するシーンが最高でした。

莉子 あのシーンは面白過ぎて、私も筧さんも笑いをこらえるのに必死でした(笑)。木村監督が楽しそうに、「ここで傘を引っかけたりしてください」みたいな指示を出していたんですが、あそこまでネチネチした長さは綱くんのアドリブだと思います。

――グリコの知り合いで、むっちゃんが恋心を抱くベンジー役の中島さんはいかがでしたか。

莉子 これまで中島さんが演じた役柄もあって不思議な方なのかなと思っていたんですが、実際に話してみると気さくな方ですし、常に作品のことを考えてらっしゃる、映画愛にあふれる方だなと感じました。休憩時間、みんなで話しているときに急にアイディアが受かんで、その場で木村監督に提案をしてくださるんです。それが自分の役だけではなく、4人に関わることも多かったので、みんなが中島さんに助けられていました。

――長回しでの長セリフはいかがでしたか。

莉子 カメラが回ると、意外とセリフが出てくるんですよね。頑張って覚えたというのもありますけど、ちゃんと生きた会話になっているから、そこに違和感がないんです。綱くんも同じようなことを言ってました。

――ちなみに今回はどうやってセリフを覚えたんですか。

莉子 クランクインの2週間前ぐらいからじわじわ読み始めたんですが、脚本というよりも、小説みたいな感覚で読むことを何日か繰り返して。数日前からちゃんと声に出して読み始めたんですが、じっくり読んでいたので、意外と頭に入っていました。

――二つの作品が並行していたと仰っていましたが、どう気持ちを切り替えていたんですか。

莉子 「頑張るぞ!」って思わないようにしていました。そう思ってしまうと、知らない間に心に負担がかかって、体調も崩したりするんです。なので「何とかなるでしょ」「終わらない撮影はない」っていうマインドでいました。『違う惑星の変な恋⼈』は撮影期間がタイトで、ギュッと集中できたのも良かったです。「今日、このシーンが終わったから、この8ページともおさらばだ」「ここを乗り越えたら、次はこのシーンだ」と日に日に終わりが見えて来るので、達成感も大きいんですよ。

――完成した作品を見たときは、どう感じましたか。

莉子 撮影中も感じていたことですが、すごく色味がかわいかったですし、カメラの動きや編集も遊び心があって、映像ならではの面白さを感じました。初号試写で見たんですが、たくさん関係者の方がいたので、あまり笑っちゃいけないなと思ったんです。でも先ほどお話しに出たモーのシーンなんかでツボっちゃって、あんなに映画館で笑いを堪えたのは初めての経験でした(笑)。