森下紫温の一生懸命さ、新鮮さに刺激を受けた

――W主演の森下さんの印象はいかがでしたか。

加藤 紫音がお芝居している姿を見ていると、一生懸命さ、新鮮さというのは、すごく大切なことなんだなと改めて思いました。お芝居を初めたばかりの自分を見ているようで、初心忘るべからずだなって勉強になりました。

――森下さんにもお話を伺ったのですが、多くのことを加藤さんから学んだと仰っていました。

加藤 僕も映像の経験は少ないので、新人の部類ではあると思うんですけど、僕自身が先輩方から教わったことを少しでも紫音に伝えて、一緒に作り上げたらいいなと思いました。具体的に台本の読み方やセリフの言い方などを教えたのではなくて、「紫音の気持ちを、そのままぶつけちゃっていいんだよ」みたいな気持ちの面でアドバイスをしたんですが、それに紫音も食らいついてくれて、負けられないなと思いました。

――クランクイン前からプライベートで会うなどの親交があったそうですね。

加藤 W主演だし、コミュニケーションを取るのが大事だなと思って、僕から会うようにしていました。やっぱり「初めまして」みたいなよそよそしさって、お芝居にも出るんですよね。もちろんキャリアのある方は出ないですけど、僕たちみたいな新人はプライベートから接してほうがいいかなと。実際、本番もやりやすかったですし、お互いを信頼して演じることができました。

――加藤さんは座長的な役割を求められるポジションだったと思うのですが、その辺はどうでしたか。

加藤 舞台でも座長をやったことがなかったので、先輩方の姿を思い出しながら、めちゃくちゃ意識しました。ギイも周りに弱みを見せずに、みんなを引っ張っていくので、役に重ね合わせながらしっかりしないといけないなと考えていました。

――同世代の俳優さんが集結しましたが、現場の雰囲気はいかがでしたか。

加藤 すごく良かったです。みんなコミュニケーションを取るのが大好きで、休憩時間もめっちゃ遊んだりしゃべったりしていました。そういう時間があったからこそ、この映画を作り上げることができたんだなって思います。

――ボーイズラブに関しては、どんな印象をお持ちでしたか。

加藤 これまで縁のないものだったので、全く想像がつきませんでした。今回演じてみて思ったのは、性別に関係なく、相手が誰であれ愛するという純粋な感情は同じなんだなと。たとえばペットって性別に関係なく愛を持って接するじゃないですか。それは人間同士でも変わらないなと。人間って男同士でも嫉妬するし、男女同士でも嫉妬するし。そういう様々な愛の形が、やっと受け入れられるようになってきているのは素晴らしいことだなと思いますし、そういうメッセージを作品から受け取ってもらえたらうれしいですね。

――映画を見たファンの感想はいかがですか。

加藤 僕にとって過去に経験のない、新たに挑戦する役だったので、「新鮮で良かったよ」って言ってくれる方が多かったです。映画の中ではギイという役として僕は生きているので、「いつもの加藤大悟じゃないみたい」という意見は特にうれしかったです。