お客様もすごい集中力で観てくださっているのが、ひしひしと伝わってきた『魍魎の匣』

――2021年に上演したミュージカル『魍魎の匣』に引き続き、『鉄鼠の檻』に探偵の榎木津礼二郎役で出演します。『鉄鼠の檻』は京極夏彦さんによる「百鬼夜行」シリーズの第4弾、『魍魎の匣』は同シリーズの第2弾です。それまで京極夏彦作品を読んだことはありましたか。

北村諒(以下、北村) 前回のミュージカルをやるにあたって読んだのが初めてでした。普段あまり小説を読まないので、本のボリュームを見たときはハードルが高いなと思ったんですが、読み進めるとどんどん引き込まれました。もともとホラーやミステリーは好きなので、楽しく読めましたね。舞台版のほうは、壮大で重厚なミステリーをミュージカルに上手く落とし込むことによって、流れるように見やすくなった印象でした。

――榎木津礼二郎を演じるにあたって、どんな役作りを意識しましたか。

北村 榎木津は異端の存在なので、みんなと混ざらないようにしようと。たとえば、みんなが動けないシーンで動いてみたり、みんなが注目しているところではないところに注目してみたり。客席から観ていても、榎木津だけ他とは違う動きをしているなと感じられるように意識しました。ただ時代的にびしっと動くイメージがあったので、自由さもありつつ、だらしなく見えない所作を心がけました。

――戦後間もない時代が描かれていますが、原作を読む以外で下調べなどはしましたか。

北村 どういう生活様式だったのか、どういうものが存在していたのかなどは、その時代を経験していないので、なかなか実感が湧かない部分です。フィクションではありますが、その当時の世相や言葉遣い、所作などは自分なりに調べました。

――板垣恭一さんの演出はいかがでしたか。

北村 板垣さんの中で最初からしっかりとしたビジョンがあって、論理的に組み立ててくれるので、かけてくれる言葉も明解ですし、安心して稽古に臨めて、とてもやりやすかったです。

――普段のミュージカルとの違いはありましたか。

北村 作品自体は重い内容ですが、ミュージカルなのでポップな曲やシーンも多くて、軽快に進んでいく。その相反するところが楽しかったですし、序盤から後半にかけて変化していくグラデーションみたいなものは『魍魎の匣』ならではと思いました。お客様もすごい集中力で観てくださっているのが、ひしひしと伝わってきました。

――『鉄鼠の檻』を上演すると聞いたのはいつぐらいですか。

北村 聞いたのは一年前ぐらいですが、『魍魎の匣』をやった段階で「続編をやりたいね」というお話があって。ただ、どの作品になるかまでは決まっていなかったです。

――『鉄鼠の檻』のビジュアル撮影では、どんなことを感じましたか。

北村 (小西)遼生さんと(神澤)直也の3人で並びを撮ったときに、帰ってきたなという懐かしさと、「なんか落ち着くな」という安心感がありました。