卒業から約7ヶ月ぶりのステージでは“ぶっつけ本番”の状況で味わった焦りも…
――ハロー!プロジェクトでは、ハロプロ研修生とつばきファクトリーで“のべ11年”を過ごしました。その後、舞台俳優の道を選んだ理由は?
山岸 舞台が好きになったのは、ハロプロ研修生時代に初めて出演したミュージカル「熱帯男子」がきっかけでした。セリフもほとんどなかったんですけど楽しくて、つばきファクトリーへの加入後も「演劇女子部」で舞台へ立つにつれて、俳優さんへの憧れがより強くなっていたんです。
――ミュージカル「熱帯男子」の上演は2013年でした。ルーツは、だいぶ昔にあったんですね。
山岸 そうですね。ハロー!プロジェクトでは歌割りをもらえない悔しさはなかったんですけど、舞台で演じたい役に選ばれなかった悔しさはあって。つばきファクトリーで主演した舞台「遙かなる時空の中で6 外伝 ~黄昏ノ仮面~」では、男性役を演じたかったんですけど、私と(OGの)小片リサちゃんだけが女性役になり、悔しかったのは覚えています。でも、そのときに「舞台が好きなんだ」と気がつきました。
――舞台への熱意があってこそだったのかなと。一方、ハロー!プロジェクトでは顔ぶれが同じ環境でステージへ立ち、卒業後は様々なカンパニーを渡り歩くようになったのも、大きな変化だったのかと思います。
山岸 メンバーとは年中一緒でしたし、私をよく知ってくれている安心感もありました。グループ卒業後、ふと「1人になったんだ」と実感する瞬間もありましたけど、だいぶ慣れました。初対面の方々と会う機会が多くなってからの変化は感じていて、メンバーの前とは違う自分を出せていると思うんです。稽古初日でも気軽に話しかけられるようになったし、人の優しさや温かさにふれて、ハロー!プロジェクトの時代と変わらずに「周囲の環境に恵まれているな」って思います。
――自身の成長も感じながら、6月10日には東京・日本武道館で開催した「つばきファクトリー コンサートツアー 2024 春「C’mon Everybody !」 新沼希空卒業スッペシャル ~ Ready Go!Now! ~」に出演。卒業から約7ヶ月ぶりのステージで、OGや現役メンバーと久々のパフォーマンスを披露しました。
山岸 公演前日にリハーサルがあったんですけど、当日は舞台「くちびるに歌を」の千秋楽と重なっていたので、日本武道館のステージには“ぶっつけ本番”で立ったんです。セットをちゃんと見たのは本番間際で、暗転した状態からの登場だったので、最初にどこへ立てばいいか分からずにちょっと焦りました(笑)。でも、過去の経験もたよりに「自分を信じてやるしかない」と思って、本番では余裕を持って楽しみながらのパフォーマンスができました。
――焦りもあったとは思えぬほど、ステージでは堂々としていて。表情など、アイドル時代に戻ったかのようでした。
山岸 ぶっつけ本番だったのに「今、アイドルしてる」と、自分でも驚くほどでした。俳優モードのときは役になりきっていますし、アイドルモードのときは素の自分になれるんです。MCは自然体で、パフォーマンスになるとカッコつけちゃいます(笑)。
――(笑)。ハロー!プロジェクトのドキュメンタリー番組「ハロドリ。」では本番に向けて、OGのメンバーで円陣を組む様子も放映されていましたね。
山岸 楽屋が一緒で「円陣を組もう」と話したんです。すでに本番がはじまっていて、現役メンバーの子たちのパフォーマンスがスタートしていたので、私たちだけで円陣を組みました。つばきファクトリーでは、全員の親指と小指を繋ぎ合わせて「キャメリアファイッ!」のかけ声で気合いを入れるんですけど、OGだけで「違う円陣をやろう」と話して。グループの自己紹介のように、手で形作った“つばきの花”を重ね合わせて、みんなで「つばきOG、行くぞ〜!」と叫びました。
――強い絆を感じます。卒業後の今も、つばきファクトリーの曲を聴きますか?
山岸 移動中や稽古前に聞くと、気合いが入るんです。最近は、私の卒業後に出たアルバム「3rd -Moment-」に収録の「Power Flower ~今こそ一丸となれ~」をよく聴いています。ラップも好きで、テンションが上がるんです。YouTubeでは「Dance Practice」動画もよく見るし、好きです。