ソロ転向で「シングルが世に出るまで」にあった関わる人たちの苦労を実感できた

――@Loppi・HMV限定盤収録のカップリング曲「時々ドキドキ」、通常盤収録のカップリング曲「雨上がりだ」は、江籠さん単独の作詞曲です。苦労もありそうですが、どのように歌詞を作られているのかも気になります。

江籠 すでに形となっている曲をいただいてから、書き溜めた言葉を当てはめているので大変さはあまりありませんでした。日常で気になる言葉をストックしていて、そのストックから言葉を選んで歌詞を作り、最後に曲のタイトルを決めています。でも、今回のカップリング曲「時々ドキドキ」はタイトルが先で、例外でした。

――例外というのは?

江籠 ソロになって初のバースデーライブ「江籠裕奈 Birthday Live 2024 “329”」(2024年3月)の準備をしている時に、ふと「時々っていいかも」とひらめいたんです。そこから「時々ドキドキ」というキャッチーなフレーズがパッと浮かんで、内容をふくらませれば「かわいい曲が書けそう」と思いました。誰かを好きになったり、もう知らないって思ったり。感情に振り回される世界観を描きたくなって、多くの方に共感していただきやすいSNSをテーマにしました。

――昔からクリエイティブへの意識は強かったのでしょうか?

江籠 グループ時代から、ソロライブのセットリストを考えたりするのも好きでした。盛り上がればいいわけではなく、ステージの流れに「ちゃんと意味を込めなければ」というこだわりも強かったです。

――そんなこだわりもあってか、もう一方の雨がテーマの失恋ソング「雨上がりだ」では、考察を深めてもらえるように「言葉の並べ方や使い方」に悩んだと明かしていました。

江籠 大変でした(苦笑)。一度聴いただけでは満足できない曲にしたくて、出会いから別れをストレートに描くのではなく、あえて最初で別れを示し、あとから経緯を明かす構成にしました。1番と2番のBメロでは同じ言葉を使っていますが、文脈を捉えてみると意味が変わります。歌詞を見ながら聴いても考察しても楽しい曲になっていると思います。

――リリースにあたっての思いもグループ時代と変わったのではないでしょうか?

江籠 グループ時代はシングルのリリースが決まり、いつレコーディングをして、いつジャケット写真を撮影するのか、スタッフさんからいただくスケジュールを把握して、こなしていくだけだったと思います。ゼロから曲づくりに関わることで、世に出るまでには数ヶ月も前から準備しているんだと知れたし、ソロにならなければ分からなかったことがたくさんあります。今回の2ndシングルと前回の1stシングルは制作が並行していたので、大変さも身に染みました。