クランクイン前の本読みで共演者との関係性を作り上げることができた
――ドラマ『焼いてるふたり〜交際0日 結婚から恋をはじめよう〜』はマンガが原作です。マンガの実写化作品に出るときに意識することはありますか。
濱正悟(以下、濱) 過去にも『コーヒー&バニラ』(19)や『ピーナッツバターサンドウィッチ』(20)など、マンガが原作のドラマに何度か出演しているんですが、今回は久々だったので改めてどうしようかと考えました。以前は原作を読み込んで、緻密に寄せていくことを重視していたんですが、原作に近づけようとしても全く同じにすることは難しいですし、監督などの意向もあります。いかに原作の良さを僕ら役者が表現できるかも大事ですが、実写ならではの良さをどうするべきかも重要だなと。今回は原作を読む前に脚本を全話読んだので、文字だけでどういうイメージが湧いたのか、どう自分で感じたのかを一旦整理した上で、原作と向き合うことができました。
――濱さん演じる戸田裕貴にはどんな印象を受けましたか。
濱 “動”というよりは“静”。一見ぶっきらぼうでクール、どこかトゲもあるんだけど、行動や言葉の節々、表情などから優しい感情が溢れている。台本と原作を読んで、そんな印象を受けて、衣装合わせのときに監督と役について、いろいろ話し合いました。たとえば笑顔にもたくさん表現方法がありますが、戸田らしい笑顔はどういうものかみたいなことを監督や共演者のみなさんと探りながら一緒に作っていきたいですというお話をさせていただきました。今回のドラマはありがたいことに、クランクインの前に本読みの時間があったんです。健太(黒羽麻璃央)、千尋さん(松村沙友理)、伏見さん(紺野まひる)、僕の4人で本読みをして、テンションなどを合わせることができたので、しっかりと準備をすることができました。
――現場の雰囲気はいかがでしたか。
濱 僕はクランクインして3日目から入らせていただいたんですが、主演のお二人は役そのままという雰囲気で現場にいて、すでに和やかな空気感が出来上がっていました。そんな中に入るのでどうしようかと思ったんですが、まず紺野さんが話しかけてくださったので、すぐに打ち解けることができて、本読みの時間が活きているなと思いました。
――事前に準備していたものが覆されるようなことはなかったのでしょうか。
濱 ありました。たとえば伏見さんとのシーンで、紺野さんのお芝居の温度感に合わせてやってみたら楽しかったんです。事前に本読みをしたことで紺野さんへの信頼感がありましたし、自分の中で決めつけ過ぎずないようにしようと思いました。
――現場で戸田を作り上げる部分もあったんですね。
濱 監督としても、ここはもうちょっと思いを強めに出してほしいとか、もうちょっと間を持って演じてほしいとか、いろいろな意向があると思うので、現場で話し合いながら作っていきました。現場で演じてみて、戸田への理解度も深まりましたし、共感する部分も多かったので、自分の感覚も入れつつ、力を抜いてやってみました。