12人でいられたのは“幻の期間”グループとしての新たな時代の変化を感じられる1枚に

――最新のトリプルA面シングル『ベイビースパイダー/青春エクサバイト/鼓動OK?』は、2024年2月に新加入した石井泉羽さん、村田結生さん、土居楓奏さんの3人と、同年6月に卒業した新沼希空さんも揃った、12人の歌声が残る“最初で最後”の作品となります。

秋山眞緒(以下、秋山) 卒業と加入を繰り返すグループで、いつ誰が卒業するかは私たちも分からないし、どのタイミングになるかも分からないから、そのときを残せるのは素敵だと思うんです。グループとしての時代の変化があるからこそ、そのときのみんなの声質とか、ダンスの表現とかを残せて、ファンのみなさんに見ていただけるのはうれしいし、きそちゃん(新沼)の卒業直前に発売のお話を聞いて、12人でシングルを出せるうれしさもありました。

――声質の変化を、メンバーとしてどのように感じているのでしょう?

秋山 振り返ると、メジャーデビューを経験した9人に、リトルキャメリアン(2021年7月に加入した4人“河西結心・八木栞・福田真琳・豫風瑠乃”の愛称)が加わったとき、明るめの曲がより元気になったんです。新メンバーらしくフレッシュさがあり、リズム感とかが私たちと違って、慣れていない初々しさも素敵でした。新メンバーの3人もいっしょで、みんなの声が合わさったときに曲の色が変わって、グループとしての時代の変化を感じます。

――隣の豫風さんは、秋山さんの意見を聞いて拍手していましたね。

豫風瑠乃(以下、豫風) すごいなぁ、って(笑)。12人でいられた期間は、幻だったんです。にゃんさん(新沼)と新メンちゃんの3人が揃っていたのは半年ほどだったので、“幻の期間”に(新沼が卒業した)日本武道館公演ができて、シングル曲の収録やMV撮影もできたのはうれしかったです。

――新メンバーの加入で、豫風さんはグループでは初の後輩ができました。

豫風 グループで一番の後輩だった時期は「気をつけようね」と言われる立場だったので、その方が大変だと思っていたんです。でも、新メンバーの加入後は言う側の大変さにも気がつきました。先輩方は「あのとき、こんな気持ちで言っていたのか」と思うし、グループをよくしたいから、私たちにも言葉をかけてくれたんだと考えることばかりです。

――さらに後輩が増えた変化を、秋山さんはどのように受け止めているのでしょう?

秋山 毎日、後輩のみんなからは色んな刺激を受けています。特に瑠乃は、日常での振る舞いや発言に注目してしまうんです。最近、本当によく考えるんですよ。新メンバーの3人に、瑠乃がアドバイスしているのを見ると「大人になったなぁ」と思います。でも、自分のパフォーマンスに厳しく、ふと「どうすればパフォーマンスで勝てますか?」と聞いてくるストイックな一面もあって、貴重な存在です。かかえることも多いのかなって心配にもなりますけど、常に「瑠乃にどんな言葉をかけたらいいか」と考えているし、のびのび過ごしてほしいかな。

豫風 心の深いところをメンバーに伝えるときは少ないんですけど、あきゃまさん(秋山)には話しているかもしれません。パフォーマンスで「どうすればカッコよくなりますか?」とか「ここはどうすればいいですか?」とか。あきゃまさんの答えは、正解だと思ってしまうので。

秋山 私も、瑠乃のパフォーマンスから学ぶことが多いんです。ステージにかける気持ちが誰よりも強くて、年齢も何もかも違うのにいっしょに活動できるのが楽しくて。でも、メンバーはライバル同士でもあるので、私も負けないようにと背中を押してくれる子でもあります。

――同じグループにいても、ライバル意識があるとは意外です。

秋山 口には出さずとも、みんな思っている気はします。

豫風 いいライバルですね。「この子がここまでやるなら、私も…」と、頑張る原動力になります。

――熱い思いが乗る最新シングル収録曲についても伺います。クールな「ベイビースパイダー」のMVは、最後にキメる豫風さんの表情も強く印象に残りました。

豫風 つばきファクトリーにありそうでなかった曲。タイトルに「ベイビー」と入っているんですけど、内容は正反対で大人っぽく、子どもっぽさを残しながらもついていきたくなる女性をイメージできるのが好きです。ダンスでは、2番のはじめにある新メンバーの村田結生ちゃんのラップパートで、新メンちゃんの3人が私たちから離れて踊る場面があり、周囲で踊る他のメンバーも含めてカッコいいので見てほしいです。

――続いて「青春エクサバイト」はMVがポップで、卒業した新沼さんとの思い出をメンバー全員で噛みしめるかのような展開です。

秋山 きそちゃんをフィーチャーした曲で、私たちの青春が詰まっています。歌詞で「足りないよギガ」というフレーズがあるんですけど、私たちの思い出もどれほど容量があっても収めきらないし、ジーンときます。ステージでは笑っているのに涙が出てきそうなほど、きそちゃんの優しさや温かさも蘇ってくるんです。これからも歌い継ぎたいし大切にしていきたい曲で、日常の私たちを映したMVでは、素の笑顔も感じ取ってもらえるならうれしいです。

豫風 普段のメンバーの役割が、よく分かります。例えば、あきゃまさんはカメラでみんなを撮っているんですけど、スマホのカメラロールを見るとつばきファクトリーの歴史が分かるほど、メンバーの写真をたくさん残してくださっているんです。まりんちゃん(福田)のポップコーンを私が食べているのも、実際にあったので(笑)。MVをじっくり見ると、それぞれ「こんな子なんだ」と伝わるはずです。

――トリプルA面のもう1曲「鼓動OK?」は、11人体制となる最初の1曲です。

豫風 新メンちゃんのかわいさを、たくさん楽しめる明るい曲です。みんなで「イエイ!」と歌っているのを見ると、うれしくなります(笑)。歌が上手な土居楓奏ちゃんのパート「本当の心のサイン」はMVもパフォーマンスもかわいいし、石井泉羽ちゃんは「イエイ!」のイメージにピッタリ。村田結生ちゃんはあきゃまさん、やぎしおちゃん(八木)と一緒に踊るダンスパートがあって、先輩の中心で踊るのは緊張するはずなのに、負けないくらいに堂々と踊っていてカッコいいです。MVではミラーボールが光っていて、平成のキラキラ感に溢れている懐かしい雰囲気になっています。

秋山 つばきファクトリーは恋愛をイメージさせる曲とか、切ない乙女心を歌った曲とかが多かったし、いっしょに「踊ろう」と誘うような曲があまりなかったので珍しいなって。私もウキウキ、ワクワクしますし、自然とリズムに乗れる曲なので、日常の不安を忘れるために聞いてもらえるならうれしいです。