白石晃士監督から聞いた血糊の作り方に衝撃を受ける

――白石監督の演出はいかがでしたか。

近藤 上手く霊を想像できなくて、演技が行き詰まってしまうことが何度かあったんです。そんなときに白石監督は分かりやすく幽霊話をしてくれましたし、「もっと息を荒めにして」「そこの動きは早く」といった感じで具体的にアドバイスをいただけたのでありがたかったです。

――今まで経験してきた撮影現場とは違うお芝居を要求される局面も多かったでしょうね。

近藤 幽霊に襲われた経験はないので、リアクションが難しくて。感情を大きめに出したり、目を大きく見開いたり、怖いという感情を分かりやすく表に出すことに苦労しました。

――則雄、春枝、住田がサユリと対峙するシーンがありますが、CGをふんだんに盛り込んでいるので、現場でイメージするのは大変だったかと思います。

近藤 サユリの怖さを想像しながら演じるのは難しかったです。ただ南出さんと根岸さんがエネルギーに溢れていたので、お二人に助けられました。

――触手に襲われるシーンはいかがでしたか。

近藤 触手っぽいひらひらしたものをスタッフさんが動かしていたんですが、それをかき分けていくところは、完成形が分からないので手探りで演じていました。だから実際に完成した映画を観たとき、こんな風に仕上がるんだと驚きました。

――現場で怖いと感じることはなかったんですか?

近藤 みんなワイワイしていたので、あんまり怖いと感じることはなかったですね。怖い役をやる方も、たくさん話しかけてくれたので、カメラが回っていないときは笑っていることが多かったです。

――血糊の量が凄まじかったですけど、そこに恐怖感はなかったですか。

近藤 怖いというよりも、どうやって作っているのかという興味のほうが強くて。白石監督と南出さんの3人で話していたときに、「どうやって血糊を作っているんですか?」と聞いたんです。そしたら白石監督が「本物の血を薄めたものだ」と仰っていて。

――動物の血ということですか?

近藤 いえ、「スタッフの血を採取しているんだ」と。私はホラー現場のことを何も分かっていなかったですし、南出さんも白石監督の話に頷いていたので、信じてしまいました(笑)。

――そもそも動物の血でもないですからね(笑)。ホラー作品は苦手だと仰っていましたが、完成した『サユリ』は普通に観ることができましたか。

近藤 自分が出演しているシーンは普通に観ることができたんですが、前半で神木家が不幸に襲われるところは現場にいなかったので、ちゃんと怖くて……。目を覆いながら観ていました。