最初は俳優をやることについて深刻に考えていた
――どうして『月とキャベツ』に、全面的に参加したんですか。
山崎 それまでPV撮影の経験はありましたが、映画に携わるのは初めてだったから新鮮だったんです。カメラマンさんがいて、照明さんがいて、録音さんがいてと、現場に入ったら一瞬で把握できるぐらい篠原組の方々が、しっかりと現場を固めていて。みなさんの仕事ぶりが素人目にも素晴らしくて、すごく楽しかったんです。お芝居にしても、演技未経験の僕に共演の鶴見辰吾さんが、セリフを言うときのコツを教えてくれて。あらゆる局面で映画の面白さを感じたんです。
――その後、数多くの映画やドラマに出演していますが、『月とキャベツ』で映画ならではの醍醐味を感じたということでしょうか。
山崎 そうですね。ドラマって撮影のスピードが速いので、ゆっくりと現場を楽しむことが難しいんですよね。ただ今回の『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』は1カメが多かったので、映画の撮り方に似ていて、緊張感もありました。
――『月とキャベツ』はフィルム撮影だから、より緊張感もすごかったのではないでしょうか。
山崎 近くでフィルムの回るカラカラという音が聞こえるから緊張しました。NGを出したら1ロールを無駄にする可能性もあるというプレッシャーもありますしね。『月とキャベツ』では、オンリー録りやプレスコも経験できたので、ミュージシャンとしても勉強になる現場でした。
――『月とキャベツ』は大きな話題となり、「One more time, One more chance」もヒットしましたが、次に俳優の仕事をするまで間がありますよね。
山崎 もともと俳優をやるつもりはなかったですし、本業の方からは片手間みたいに思われているんやろうなと思ったんです。二足のわらじじゃないですけど、どっちに本腰を入れるかと聞かれたら、迷わず音楽と答えますし、アルバムもコンスタントにリリースしていましたからね。
――ところが、先ほどもお話しに出た映画『影踏み』で主演を務め、今年も映画『ハピネス』で初の父親役を演じ、『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』でもW主演を務めるなど、俳優としての評価も高いです。
山崎 最初は俳優をやることについて深刻に考えていたんですが、大竹しのぶさんや、僕と同じくミュージシャンと俳優をやっている竹原ピストルなどから、「お芝居をやらないの?」って言ってもらって。せっかくオファーもいただいている訳だし、柔軟に考えたほうがいいのかなということでやっています。この前、自分のウィキペディアを見たら、「シンガーソングライター、俳優」と書かれていたので、「俳優」を消したくなりましたけどね(笑)。
Information
ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』
ドラマフィル枠にて毎週木曜 深夜1:29~より放送(MBS/毎日放送)
テレビ神奈川、テレビ埼玉、群馬テレビ、とちぎテレビ、チバテレビでも放送中
MBS放送後から「TVer」「MBS動画イズム」にて最新話無料配信
山崎まさよし 酒井大成
川面千晶 三原羽衣 今森茉耶
丸山智己/宇野祥平
原作:松本あやか「三ツ矢先生の計画的な餌付け。」(ぶんか社刊)
監督:野尻克己
脚本:吉川菜美
音楽:原田智英
制作プロダクション:レプロエンタテインメント
製作:「三ツ矢先生の計画的な餌付け。」製作委員会・MBS
若手の編集者・石田友也(酒井大成)は、女性誌の環境に馴染めず悩んでいた。そんな中、編集長・藤堂ゆり子(川面千晶)からの指名で、突如テレビや雑誌に引っ張りだこの人気料理研究家・三ツ矢歩(山崎まさよし)の担当になる。初めての訪問に卒倒するほど緊張していた石田だったが、三ツ矢が振る舞う料理にすっかり胃袋を掴まれ、自分を見つめる三ツ矢の優しい視線、朗らかな人柄、時折見せるかわいさに、なんだが胸が……。三ツ矢の元恋人・野口薫(丸山智己)、カフェバーのマスター・シゲ(宇野祥平)、石田の働く編集部の同僚・相沢千翔(三原羽衣)、三ツ矢の番組のアシスタント・ゆぴ(今森茉耶)らの登場で物語も大きく動き出し……。大人の色気溢れる三ツ矢とピュアでまっすぐな石田の二人が紡ぐヒューマングルメラブストーリー。
山崎まさよし
1971年12月23日生まれ。滋賀県出身。1995年、「月明かりに照らされて」でデビュー。1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェス・イベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。2019年、全国公開の長編映画『影踏み』への主演・主題歌・サウンドトラックを担当し大きな話題となる。2024年5月、映画『ハピネス』に俳優として出演、初の父親役を演じた。9月25日、デビュー30周年イヤー突入を記念し、シングル「フリト」を発売。10月4日からは「YAMAZAKI MASAYOSHI LIVE FOR BOOGIE HOUSE TOUR 2024」を開催する。
PHOTOGRAPHER:YU TOMONO,INTERVIEWER:MAMORU ONODA