受身じゃなくて自分で選択をして前のめりにやりたかった
――『ほなまた明日』は俳優ワークショップによって生まれたそうですね。
田中真琴(以下、田中) ワークショップの時点で、映画の原型となる台本を渡されました。最初は男女関係なく台本のセリフを覚えて、キャラクターを変えながら演じていきました。今回メインキャストを演じた人たちとは別の方なんですが、ずっと私の相手役は同じ方で。道本(咲希)監督は、二人から生まれる化学反応や、ペアのバランスなどを見られているんだろうなと感じながら演じていました。
――これまでワークショップに参加することはあったんですか。
田中 ほとんど参加してこなかったです。
――参加したのは何か気持ちの変化があったのでしょうか。
田中 その時期、がむしゃらに役者をやりたい、もっと自分で前に進みたい、受身じゃなくて自分で選択をして前のめりにやらなきゃという思いがありました。それと今後、お芝居を続けていく中で、「どういう女優になりたいか?」と聞かれたときに、明確に答えることができないのが悔しかったんです。そのために、たくさんの映画やドラマを見たんですが、いろんな役者さんに会いたいと思ったんですよね。全員が同じタイミングで台本をいただいて、どうやって他の役者さんが役作りをしているのかを肌で感じて、良いところは積極的に盗みたいなと。それでネットで見つけたワークショップに申し込んだり、知人が参加するワークショップに一緒に参加したり。『ほなまた明日』の撮影は去年の夏頃だったんですが、その半年ぐらい前に、幾つかのワークショップに参加しました。
――ワークショップによって、どんな違いがあるんですか。
田中 ワークショップによって監督さんの熱量が違うんですよね。道本監督は全身全霊でワークショップに向き合っているなと感じたんですが、中にはビジネス的な方もいらっしゃいます。あと監督さんの個性もワークショップには反映されるので、いくら役者が努力をしても、好き嫌いで選ばれてしまうこともありました。でも、それは当然のことだと思いますし、どの経験も学びになりました。
――道本監督は今回が初めてのワークショップで、公式インタビューで「私は現場で突発的に面白いことを生み出すのが苦手なタイプの監督です。なので、とにかく準備段階を大切にしています。それは今作もそうで、物語の中心に立つ4名の俳優の方々を軸にみっちりリハーサルを重ねました。私がどのような想いでこの作品をつくろうとしているのかも時間をかけて話しましたね」と仰っていました。
田中 道本監督は、すぐに思いを言葉にして伝えるのは得意ではない方なんですが、ちゃんと言葉を選んで話されるのが素敵でした。どんなふうに準備をしてきたかは聞かれなかったんですが、「なぜそれをしたんですか?」「今どういう気持ちですか?」というのを逐一、全員に聞いていて。細かい役作りをしている役者を好む印象です。