八村倫太郎さんは優しくて地頭のいい方

――児玉和土監督からは、どんな指示がありましたか。

岡田 本読みのときに、「メグミはユウにとってお母さん的な存在。母性で包み込んであげてほしい」「二人の間が愛情で包まれるような、ユウにとって幸せ過ぎるぐらい幸せな時間を作ってあげてほしい」と仰っていただきました。そのときに児玉監督と意見を擦り合わせたことでメグミを掴みやすかったです。現場に入ってからは自由に演じさせていただいたので、すごくやりやすかったです。現場が滞ったときは、「感情を思い起こしてください」ともう1回スイッチを入れてくれるようなことを言ってくださってありがたかったです。

――特に印象的なシーンは?

岡田 ユウ、メグミ、ユウとメグミの先輩、キリシマの4人でレストランに集まるシーンです。あまり細かいことはネタバレになるので言えないですが、それぞれ見え方が違うシーンで。メグミの立ち居振る舞いや、周囲のリアクションについて、児玉監督とディスカッションをして、自分の意見も伝えさせていただいて作り上げていきました。だから一回観ただけでは気づかないかもしれませんが、二回目を観たときに、このシーンのお芝居はこういう意味があったんだと気付いてもらえるはずです。

――確かに一回観ただけでは見過ごしてしまいますね。

岡田 頭を使いながらのお芝居で面白かったですし、私にとっては新しい経験でした。

――ユウ、メグミ、先輩が登場する固定カメラでの長回しシーンも緊張感がありました。

岡田 カメラマンさんが防犯カメラ風にカメラを設置して、段取りのときから一連でお芝居をして。メグミが襲われるので、アクション指導の方にも入っていただいているんですが、「カメラはここにあるので、こうしたらぶつかっているように見える」とか間合いや角度も細かく教えていただきました。児玉監督からは、「定点の映像で見えにくいから、大きな動きでやってほしい」という指示をいただいて、何度かやって作り上げていきました。アクション込みの一連が舞台のようで緊張感のある撮影でしたね。

――完成した映像もスリリングですよね。

岡田 撮影中に携帯電話で映像を観られるようにしてくださったんですが、私は動きの改善点だけを確認しただけで、あとは怖くて観られなかったです。

――ユウを演じた八村倫太郎さんの印象はいかがでしたか。

岡田 お会いするまでは勝手にクールなイメージを持っていたんですが、すごくお喋りさんです(笑)。ユウとメグミの関係性を作るために積極的に話しかけてくださって。無茶ブリしても乗ってくれて、「普段はこんなことしないんです」と言いつつ、歌いながらダンスを見せてくださって。めっちゃ優しくて面白い方です。お芝居になると、熱量と集中力がすごくて、周りの方々を気遣いながらも全力で取り組んでいるのが伝わってきて。それに触発されて、私もボルテージを上げられました。直感ではなく、ちゃんとユウを頭の中に落とし込んで、理解してお芝居しているなと感じて、地頭がいい方だなという印象も強かったです。