光と影の“演技”への挑戦もあったMV撮影では苦労も…。レコーディングでは歌い方にこだわり

――最新の9thシングル表題曲「ミチカケ」は、放送中の特撮ドラマ『ウルトラマンアーク』の後期エンディングテーマです。

桜野羽咲(以下、桜野) 『ウルトラマンアーク』には「居場所をなくしそうな人に寄り添う」というテーマがあり、今作「ミチカケ」もそのテーマで書いたと、楽曲を作ってくださった佐伯youthKさんから聞きました。『ウルトラマンアーク』の前期エンディングテーマだった前作「メラメラ」は太陽がテーマで、今作では「太陽に照らされながら、満ち欠けする月」がテーマとも佐伯さんに聞いて、たがいの曲が対になっているんです。家族や仲間、かけがえない人の存在は当たり前ではないし、太陽のような相手を優しく照らせる月のように歌いたいと思っています。

――MVのシチュエーションは大きく2パターン。スタジオ撮影では光と影の表現がきわだち、屋外の撮影では、森に囲まれた広場でみなさんが笑顔を浮かべるのが印象的でした。

花宮ハナ(以下、花宮) スタジオでは光を背にして、シルエットの演技もしたんです。表情が見えないので「大きく動いてほしい」とディレクターさんから言われました。私は影から逃げるように、コミカルに立ち回るシーンだったのでそれほど難しくなかったんですけど、ひかちゃん(天野)は、大変そうで。

天野ひかる(以下、天野) オーバーな動きが苦手なので、恥ずかしかったです。ハナちゃんの撮影シーンが先だったので「こんなに、大きく動かなきゃいけないの!?」と思っていました。

花宮 普段から、大げさに動いてるから(笑)。

桜野 逆光がずっとまぶしくて、大変でしたけど(笑)。現実の世界と影の世界を表現できて、黒だけではない影も幻想的に見えましたし、曲の温かみが出せたかなと思います。

相田詩音(以下、相田) 森に囲まれての撮影では、久しぶりの屋外ロケでテンションが上がりました。撮影の合間で辺りを見渡したら、ミステリーサークルのように生えているキノコを発見して。インスタのストーリーにアップしました(笑)。

花宮 キノコ探しも、テンション上がった。東京だと、なかなか見られませんし。

――意外な思い出も残ったMV撮影の一方、レコーディングは振り返っていかがでした?

花宮 力強く歌うのは比較的得意なんですけど、今作では珍しく、優しく歌うのが難しかったです。佐伯さんが、これまでとは違う私を引き出せるように、ディレクションしてくださって。明るさも暗さも極端にならないように、力加減は苦労しました。

相田 1番のフレーズ<他愛もないようなやり取りが><愛おしく思えたよ>は、誰を思い浮かべるかでニュアンスが変わると思ったんです。だから、レコーディングでは楽屋で話すハナちゃんだったり、私たちの日常をイメージしていました。

天野 曲がはじまってすぐの<君がいてくれたら>は、優しく語りかけるように歌おうと意識したんです。反対に、中盤の<僕もそんな 偉そうなこと言えた立場じゃないから>はノリよく歌いました。前作「メラメラ」で佐伯さんに引き出していただいた新たな歌い方を試せて、成長もみせられたんじゃないかって思います。

桜野 担当パートはどれも思い入れがあります。特に<痛み悲しみ 知っていた方が><ちゃんと優しくできるから>は佐伯さんが「ここは羽咲だと思って任せたよ」と言ってくださったんです。「長く歌う仕事を続けてきて、いいことも悪いこともたくさん経験したから、歌える歌もあるよね。気持ちを込めて、このパートは歌おう」とも言ってくださって、歌い方を探しながら、何度も録ったパートでした。