初めて映画の主演と聞いたときはドッキリ番組かと思った

――映画『死に損なった男』のオファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。

水川かたまり(以下、水川) ちょっと信じられなくて、ドッキリ番組だと思いました。僕らのスケジュールが書かれたカレンダーに「かたまり映画主演(仮)」って書いてあって。そういうざっくりした書き方のときはドッキリ番組のことが多いんですよね(笑)。ただマネージャーから、ちゃんとした台本を渡されたときに、どうやらドッキリじゃないっぽいぞと。そこから衣装合わせに行って、これ本当だよなと思いつつ、クランクインして実際に撮影現場に行ったときに確信しました。

――クランクイン当日までは疑っていたんですね(笑)。初めて台本を読んだときの印象はいかがでしたか。

水川 設定が強いなと思いました。自分がコントで思いついたとしたら、「やったぜ!」となる会心のアイディアだなと。

――かたまりさんが演じる関谷一平は、お笑いの道に憧れて業界に入った構成作家ですが、共感する部分などはありましたか。

水川 関谷は純粋で不器用で神経質で、上手く仕事はやっているけど、自分の中で折り合いがつかないところもあってという、その気持ちは分かりました。

――関谷は芸人の道を諦めて構成作家になりますが、かたまりさん自身、芸人になってから、思い通りに行かずに、それ以外の道を考えたことはありますか。

水川 うっすら30歳になるまでに芸人として生活できていなかったら辞めようかなみたいなことは思っていましたが、別のことをやろうと具体的に考えたことはなかったですね。

――事前に田中征爾監督から、こういう風に演じてほしいというリクエストはありましたか。

水川 特になかったです。衣装合わせのときに本読みがあって、「こういう感じでお願いします」と言われたので、これでいいんだと。

――全く違うキャラクターを作るのではなく、普段のかたまりさんに近い雰囲気なのかなと感じました。

水川 そうですね。たとえば僕は普段からまばたきが多いんですけど、ネタをやるときはまばたきをしないように意識するんです。でも関谷に関しては、普段のまばたきの量でいいだろうなと。そういう意味でも、自分に近いのかもしれません。

――幽霊役を演じた正名僕蔵さんとのコンビネーションが素晴らしくて、バディものの要素も感じました。映画の撮影が終わった後も交流が続いているそうですが、初めて正名さんと顔を合わせたのは?

水川 クランクイン初日に初めてお会いしたんですが、最初からやりやすかったです。俳優さんばかりの現場に行くと、普段のコントやネタのリズムとは違うなと感じることもあるんですが、正名さんは波長が合ったというか。普段からたくさん喋ってくださる方というのもあって、一緒にいて居心地が良かったですね。