芸人との共演は外国で日本人に会ったみたいな感覚

――俳優さんとの共演はいかがでしたか。

水川 すごく緊張していたんですが、僕が芸人だからなのか、皆さん「こないだ芸人の○○さんと仕事をしたんです」みたいな話をしてくださって、ホッとした部分がありますし、助けられました。

――たとえば、どんなお話があったんですか。

水川 唐田(えりか)さんがちょうど『極悪女王』を撮り終えて間もない頃で、「こないだゆりやん(レトリィバァ)さんと、マリーマリーのえびちゃんと一緒にディズニー行ってきたんです」というお話をしていました。喜矢武(豊)さんも、「この前、ネルソンズの和田(まんじゅう)さんとお会いしました」と言ってましたね。

――『死に損なった男』には、マルセイユのお二人やエレガント人生の山井祥子さんなど、芸人さんも多数出演していますが、そういう安心感はありましたか。

水川 ありました。映画未経験なのが僕だけだと心細いですが、同じ立場の人が来てくれて安心しましたし、外国で日本人に会ったみたいな感覚でした。

――今回、インパルスの板倉俊之さんがコント監修を担当しています。

水川 板倉さんが現場にいらっしゃることはなかったんですが、コントのクオリティはさすがだなと。マルセイユさんが映画でコントネタを丸々やる場面があるんですが、いつもは漫才なので、普段コントをやってないんです。いきなり撮影で初披露するのは怖いというので劇場でかけたらしいんです。そしたら、ちゃんとウケたそうです。

――かたまりさんは多数のドラマに出演していますが、映画ならではだなと感じるところはあったのでしょうか。

水川 同じシーンで、監督が「このパターンも撮っていいですか」とか、カメラさんから「こういう撮り方はどうですか」みたいな意見交換があって、現場で変わっていくことが多いんだなと感じましたし、現場で見ていて新鮮でした。

――コントとは違うお芝居の難しさみたいなところはありましたか。

水川 コントのときは最終的に笑いどころに持って行けばいいと、舞台でお客さんに笑ってもらうところをめがけてやるんですが、映画の場合は狙いどころがいろいろあるので、そこは難しかったです。

――田中監督の演出はいかがでしたか。

水川 僕は田中監督の現場しか知らないので、他の方がどういう感じかは分からないんですが、事前に「こういう映画で、この人はこういうキャラで」と説明しないんです。僕に限らず、他のキャストの方にもそうだったと思うので、おそらく狙いなんですよね。自分の中で、こういうイメージという確固たるものがあって、撮影しながら、こっちがいいなとか、ここはこうだなと調整していくイメージでした。