自分の人生もうちょっとなめていいじゃんって思えるような映画
――初めて完成した映画を観たときの印象はいかがでしたか。
水川 自分が出ていることに違和感があって。正直あんまり集中して見られなかったですね。普段から自分のコントや出演したテレビ番組すら観ないほうなのに、ずっとスクリーンに自分が映っているという状況に変な気持ちがありました。
――あまり客観視はできなかったと。
水川 ただ撮影しているときは、なんでこんなに低い位置から撮るんだろうとか、なんでこんなに遠くから撮っているんだろうとか、あんまり分からずにやっていたんですが、完成した映画を観て、こういう狙いだったんだ、あれぐらい引いたら観ている側はこういう感覚になるんだと気付くことが多くて面白かったです。
――コントに活かせそうなところもありましたか。
水川 舞台が主なので、なかなか難しいんですけど、映像の面白みを強く感じたんです。今まで映像で何かやりたいとほとんど考えたことがなくて。でも今回、約1ヶ月に渡って映画のお仕事をさせてもらって、映像でコントを撮ってみたいなと思いましたし、映画の現場で体験したことを何かの形で生かせたらいいなと思います。
――さらに俳優業をやっていきたい気持ちは?
水川 あります。今回は血糊を使ったアクションシーンなど初めて挑戦したことも多くて楽しかったので、次は銃を撃つとか、馬に乗るとか、そういうことをやってみたいです。
――ちょっと話は変わるんですが、瞑想にハマっているそうですね。どういう瞑想なんですか。
水川 僕の場合は呼吸だけに意識を向けるというか、鼻の中に冷たい空気が入ってきたことだけに意識を向けて、そこで別のことを考えたら、すぐに考えないようにして、また呼吸に意識を戻すということをやっています。
――始めたきっかけは?
水川 僕は海外の健康法などを調べるのが好きで、たまに試すこともあるんですが、そうするとよく瞑想が出てくるんです。それで興味はあったんですが手は出していなくて。海外サッカーもよく観るんですが、アーリング・ハーランドっていうノルウェー人の選手がゴールを決めた後にパフォーマンスで瞑想のポーズをするんですよ。あるインタビューを読んだら、「僕は日頃から平常心を保つために瞑想をしているんだ」と答えていて、ハーランドは瞑想であんなにゴールを決めているんだから、自分も何か変わるかもしれないと思って始めました。それが仕事に活きているかは分かりませんが……(笑)。
――最後に改めて映画の見どころをお聞かせください。
水川 誰しも生活していて、しんどいなとか、疲弊する場面ってあると思うんです。この映画は観終わった後に、いい意味で自分の人生もうちょっとなめていいじゃんって思えるような温かみがあります。しんどいなと思ってマッサージに行くお金があるなら、ぜひとも映画館に足を運んでください。疲弊も緩和されるはずです。
Information
『死に損なった男』
2025年2月21日(金)より全国公開
出演:水川かたまり(空気階段)
唐田えりか 喜矢武豊(ゴールデンボンバー) 堀未央奈
森岡龍 別府貴之(マルセイユ) 津田康平(マルセイユ) 山井祥子(エレガント人生) /正名僕蔵
監督・脚本:田中征爾
コント監修:板倉俊之(インパルス) 音楽:Moshimoss
©2024 映画「死に損なった男」製作委員会
構成作家・関谷一平は、お笑いの道に憧れ、夢が叶った半ば、殺伐とした社会と報われない日々に疲弊していた。駅のホームから飛び降りることを決意するが、隣の駅で人身事故が発生。タイミング悪く死に損なった一平の前に男の幽霊が現れ、とんでもない依頼をする。「娘に付きまとっている男を殺してくれないか?」。男を殺すまで取り憑くという幽霊の脅迫に、一平がとった選択とは?
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE: MARIKO KUBO(久保まり子),STYLIST: SAHO IWATA(岩田沙帆)