OUTERの声援や熱量を見て救われるセクションがたくさんあった
――Kアリーナ単独公演が終わって間もなく、SNSで当日のことを振り返っていましたね。
Novel Core 今までやってきた公演に比べて圧倒的に余韻が長い気がしていて、まだ続いている気分なんですよね。毎回、大きな公演をやった後は必ずツアーを細かく回らせていただいていて。そこに向けて、また一から始まるので、どちらかというと余韻を楽しんでいる時間がなかったんです。それは僕だけじゃなくて、スタッフさんも含めてチーム全員が「次々!」ってなっちゃうことが多かったんです。でも今回は、ちょうど僕が体調を崩したというのもありますが(笑)、たくさん振り返りをさせてもらいました。
――THE WILL RABBITSのメンバーとも、すぐに振り返りをしたんですか。
Novel Core 公演全体の映像が上がっていなかったので、細かい内容に関してのフィードバックはできなかったんですが、メンバーそれぞれと個々で話して、未来の話をたくさんさせてもらいました。
――前回、本連載でお話を聞いたのはKアリーナ単独公演の3週間ほど前でしたが、それから本番当日まで変更点はあったのでしょうか。
Novel Core いっぱいありました。1週間前に変わったこともあって、ライブのこともそうなんですが、入り口にアーチトラスを組んだり、顔出し看板を出したり、ライブ会場外のことも当初のプランと違うものを追加したり、削ったりもして。直前までバタバタとみんなで頑張っていました。
――ライブの内容も直前に変更はあったんですか。
Novel Core 内容自体の変更はなかったんですが、最終リハから本番まで1週間以上空いたので、各自が練習をして本番に挑む形だったんです。その期間に連絡を取る中で、「ヤバい!ここは結局どうするんだっけ?」みたいなことが新しく出てきて。メンバーのステージングがどうこうよりも、テクニカル周りのことが多かったですね。ここのLEDの映像はどうなっているのか、ここの映像制作は間に合っているのかみたいな細かなことが、ちょこちょこ出てきて。本番前日に会場に入ったんですが、それまでずっと演出のKOSUKEくんと僕が中心になって、抜け目がないようにやり取りしました。
――初めてのアリーナ単独公演で、事前準備も予想がつかない面も多かったかと思います。
Novel Core 本番前日まで実寸でのリハーサルは1回もやっていないので、ダンサーズも22名全員で実寸のサイズで踊るリハーサルが1回もできなくて。前日の会場での場当たりと、当日のリハーサルのみで間隔調整をしてもらって、細かいフォーメーションチェンジは前日も当日もたくさんありました。
――ライブ中に、レベル3とレベル5のエリアは行けないということを仰っていましたよね。
Novel Core 前日会場に行って、いざ動線を確認してみたら、もしかしたらジンバルのカメラが入るにはスペース的に厳しいんじゃないかなと気付いて。KOSUKEくんに伝えて確認してもらったら案の定、レベル3とレベル5は会場側的にも危ないかもという判断が出て。それでレベル3とレベル5に行く演出を直前でカットしました。
――会場側としても、実際に来てもらわないと判断できない部分があったんでしょうか。
Novel Core どれぐらいのカメラの大きさで、どのぐらいの人数が、どういう状況で、この動線を通るのかは実際に会場で見てもらって、会場側に判断してもらわないといけなかったので、僕たちも、いつどうなってもいいように余白を設けて、プランBプランCと用意していました。
――ぱっと見の印象ですが、今まで以上にお客さんの層が幅広いなと感じました。
Novel Core 去年の武道館公演が終わって、「HERO TOUR 2024」あたりから、より幅が広がっている感じはずっとあって。フェスにたくさん出させていただいたことで新しく知ってくれた方も当日会場にたくさん来場してくれていたと聞いていますし、好きな音楽、好きなジャンル、応援しているアーティストの種類、性別、年齢を問わずいろんな人が集まってくれたなという印象は強かったです。
――開演して、ステージに出た瞬間の光景はいかがでしたか。
Novel Core 安心感がありました。初めましての人もたくさんいたと思うし、長く応援してくれている人たちも大勢来てくれたと思うんですけど、ステージから見て違和感がないというか。みんなが混ざっているし、それぞれの楽しみ方で、無理のない範囲で、ちゃんとステージに思いを届けてくれているのが伝わってきて、ライブ自体もやりやすかったです。客席にいるOUTER(※ファンの呼称)のみんなの声援や熱量を見て救われるセクションもたくさんありました。
――事前にアリーナでもライブハウスのような距離感を目指していると仰っていました。実際にアリーナとは思えないほどOUTERとの距離感の近さを感じましたが、演出面だけでは難しい面もあったかと思います。
Novel Core 生カメでのカバーとか、テクニカル周りで解決できることもたくさんあるんですが、ステージに立って歌う僕たちの意識がちゃんと向いていないと距離感を埋めるのには足りない。ちょっとしたことだと思うんですよ。僕も他のアーティストの大型公演を観に行ったときに、「俺たちもライブを作っている一部なんだ」という自覚が芽生えるのは、フロントマンの何気ないMC中の一言がそういう気にさせてくれたりするんです。各座席にいるみんなに当事者意識を持ってもらいながら、ライブに没入してもらって、余計なことを考えずに楽しんでもらえたらいいなと思いながらライブをやっていました。
――前半、計算以上に喋り過ぎてしまったと仰っていましたが、観ている側としてはMCが長いという感覚は一切なかったです。
Novel Core 僕自身、普段に比べて長く話しているつもりはなかったんですが、いろいろな都合で3時間を超過できないというのがあって。タイムリミットがあったので、そこも気にしながらライブをやっていました。ちょくちょく演出チームから見えないところで指示が飛んできて、着替えている最中も「あと時間どのぐらいですか?」と確認をして。要所要所で調整しながら、何とか2時間40分に収めました。
――タイトな公演時間の中、アンコールの「THANKS, ALL MY TEARS」で歌い直す場面が印象的でした。
Novel Core 歌詞が飛んじゃったんですよね。メジャーファーストアルバム『A GREAT FOOL』の最後に収録されている曲で、僕の代表曲でもあるし、僕をいろんなところに連れて行ってくれた大切な曲。武道館ではやりましたけど、あえてライブでやる頻度を少なくしていて。「ジェンガ」といった対になるような曲は歌っていたんですが、「“BACK TO AGF” TOUR 2025」のことが念頭にあったので、そこに回帰するときに、改めて強度のある曲になったほうがいいなと思って、去年はフェスでも「THANKS, ALL MY TEARS」は意図的にセトリには入れなかったんです。あの場で「“BACK TO AGF” TOUR 2025」の発表をして歌うぞとなったときに、歌詞を飛ばしちゃって、ふにゃふにゃっとしたパフォーマンスのままやっちゃうのは自分的に違うなと思って。あそこは仕切り直しさせてもらいました。