より僕の気持ちと音楽を届けられるアルバム
――セカンドアルバム『Soleil』ですが、ファーストアルバム『PLAYLIST』に比べて制作面などで変化はありましたか。
宮世琉弥(以下、宮世) 僕自身がクリエイティブに携わらせていただく面が増えました。リード曲の「猫がいびきで」は初めて作詞作曲もさせて頂いて、『PLAYLIST』よりも自分が関わっている部分が多かったので、より皆さんに僕の気持ちというもの、僕の音楽というものを届けられるんじゃないかなと思っています。
――2枚目のアルバムということで経験値も上がったことが、クリエイティブ面との関りの深さに繋がっているのでしょうか。
宮世 そうですね。音楽を始めるにあたって、いろいろ自分で勉強したりもしていたので、そういったものが積み重なってできたアルバムです。
――曲作りは何で行っているんですか。
宮世 最初はギターで作って、そこからコードを決めています。曲のテイストがギターじゃないと感じたら、コードをパソコンに打ち込んで、そこにピアノ、ドラム、ベースなどを重ねてデモを作ります。それをアレンジャーの方にお渡しするんですが、「猫がいびきで」のアレンジは、ほぼデモのままになっています。
――曲作りは前からやっていたんですか?
宮世 前から独学でやってはいたんですが、あくまで趣味の範疇で作っていました。ちょっとずつ増えていった曲がファイルにはいっぱいあって、その1曲が「猫がいびきで」でした。
――「猫がいびきで」は温かみのあるリリカルな歌声とサウンドが印象的ですが、制作過程を教えていただけますか。
宮世 実際にあったことなんですが、夜寝ていたときに猫のいびきがすごい大きくて目を覚まして、猫もいびきをかくんだという驚きが最初にあって。犬のいびきはよく聞くんですけど、猫のいびきがうるさくて起きるって、あんまり聞かないんじゃないか、これを曲にしたら面白そうだなというところから始まりました。ただ猫の物語だけだと、かわいいだけになってしまうと思ったので、そこに恋愛要素を加えて詞を綴りました。そうしたら猫のいびきが強調されつつも、猫だけじゃなくて、恋人との暮らしも描けるし、言葉の幅も広がるしというので作っていきました。
――今回は前作以上に曲のバラエティが豊富ですよね。
宮世 アルバム全体の雰囲気だけ見ると、上がって落ちてを繰り返すんですが、上がって落ちての中にも絶妙な構成があって。冒頭の「FLY」でバーン!といって「猫がいびきで」ですっと落ちる。すっと落ちた先に始まる「白く染まる前に」も落ちてはいるけど、「猫がいびきで」とは違うジャンル。次に「Unbreakable」「Dream」と激しい曲が続くけど、それぞれテイストが違う。何度も収録曲を聴いていく中で腑に落ちたのが、この並びだったんです。
――中盤の「NEVERLAND」も前半にはないテイストの曲ですね。
宮世 間に差し込むのにうってつけの曲なんです。シティポップさもありつつ、いろんなジャンルが入っていて。自分でも何のジャンルに入るか分かってないんですが、だからこそ間に挟むことによってバランスが取れるんです。
――非常にコンセプチュアルなアルバムですが、宮世さん自身、他のアーティストの曲をアルバム単位で聴きますか、
宮世 もちろんです。初めて『Soleil』を手に取ったときは聴いてくださる皆さんにも、まず1曲目から聴いて、今話したような流れを大切に聴いてもらえるとうれしいです。
――『Soleil』の構成を考えるのに時間はかかりましたか。
宮世 どんな音楽に対してもファースト・インプレッションを大事にしているので、最初に音楽を聴いたときの感覚を大切にしています。最初に聴いたときに、こう思ったというのはメモするようにしています。なので、構成を考えるのには、あえてそこまで時間はかかりませんでした。