1stアルバム再現ツアーを通して感じた思い
――まずは、デビュー15周年おめでとうございます。今回はデビュー記念日直後に取材させていただいていますが、miwaさんはどのような思いで15周年を迎えられましたか?
miwa ありがとうございます。デビュー日である3月3日当日は『miwa live tour 2011 “guitarissimo”』という1stアルバムのツアー映像を見ながら、当時からずっと一緒に演奏してくれているバンマスでキーボードのejiさんと一緒にインスタライブをしていました。2011年のライブの映像を14年後にその時のバンドメンバーと一緒に見ながら話すという未来は想像もしていなかったことなので、とても幸せなことだなと感じましたし、その時のライブを観に来てくれていたファンの方がコメントしてくれたり、当時のスタッフの方も一緒にお祝いしてくれたりしたので、本当にたくさんの出会いがあって、たくさんの人に支えられてきたからこそ今日まで歌い続けてこられたんだなと15年の重みを感じています。
――今回は色々な周年企画が動いていますね。2月には「miwa 15th SPECIAL ARTIST BOOK」というアニバーサリーイヤーブックが発売されましたが、とても読み応えのある1冊でした。
miwa 凄いボリュームですよね。本当にコアなmiwaファンの方でも、発売から1週間以上経っても全部読み終わっていないという人がたくさんいました(笑)。それくらい読み応えのある1冊になっています。
――このアニバーサリーイヤーブックもmiwaさんが15周年でやりたいことのひとつだったのでしょうか?
miwa そうですね。発行元のリットーミュージックさんは、普段は楽譜をメインに扱っているんですけど、今回は音楽の話だけではなく、ファンのみんなが喜んでくれるような企画をやりたいという話になりまして…。ファンの方達は私が食べている姿や普段の姿を見て喜んでくれるので、韓国で観光したり、食べ歩きしたりする企画が実現しました。実際に本を読んだファンの方が聖地巡りじゃないですけど、私が行った場所を訪れてくれたらいいなというお話をしまして、リットーミュージックさん初となる海外ロケを実施していただきました。
――他にも興味深い特集が組まれていますが、miwaさんがこだわったポイントを教えてください。
miwa 以前、本を出した時にもギターの紹介はしているんですけど、15年でギターの本数もさらに増えたので、アコギやエレキ、ウクレレなど全21本を改めて紹介しました。あとは、リットーミュージックさんから提案していただいて、私の歌声の徹底分析といった特集ページも設けられています。私が学んでいた大学院の研究室では、音声学の観点から声の分析をしているチームもあって、私自身も自分の声の分析に興味があったので、ボイストレーナーの三上雅則さんに私の歌声の特徴を解析していただき、とても興味深い特集になりました。
――そして、『miwa 15th anniversary 再現ライブツアー”guitarissimo”』という1stアルバム『guitarissimo』の収録曲を1曲目から順番に演奏する再現ライブツアーも実施されましたが、いかがでしたか?
miwa 当時一緒に演奏していたメンバーが今でも同じステージにいてくれているというのはとても感慨深いものがありました。すべて高校時代から大学1~2年生の頃に書いた曲なので、そんな限られた時期に作った楽曲だけをお届けするというのは、タイムスリップして思い出を辿っていくような感覚だったんですけど、それは観に来てくれたファンのみんなも同じ気持ちだったんだろうなと感じました。当時はまだ小中学生でライブには来られなかったけど、学生時代に一番聴いていたアルバムだったと言ってくれる人も多かったので、14年経って自分が一番聴いていたアルバムの曲をライブで聴けるというのはファンの皆さんにとっても感慨深いものがあったと思います。ステージから見ていてもそれが伝わってくるんですよね。ファンのみんなも学生時代を辿るような表情で聴いてくれていましたし、私自身も自分の高校時代や大学時代を辿るような気持ちで歌っていました。あの頃の自分の歌を今の自分が歌うということに、私自身もとてもグッときてしまいました。
――少しくすぐったかったり、恥ずかしかったりするような感覚もあるものですか?
miwa もちろん客観的になってみれば、若いな、フレッシュだなと感じるんですけど、でも、曲を作った時の気持ちは今でも忘れていないので、作り手としての曲への思いは当時も今も同じなんだなという感覚です。そこが不思議ですよね。でも、15年やってきたからこその“今のmiwaの歌”になっているなとも思っています。