こんにちは。GANG PARADE/KiSS KiSSのキャ・ノンです。ちょっと書いていた文章があったのですが、「なんかいや!」となってしまって先ほど投げ捨てました。自分で生み出したのに、なんか気に食わないみたいなものってありますよね(ありますか?)。これはいつか、ちゃんと書き直して載せようと思います。
なので今日は違うものにしようと思いまして、わたしは小説を読むときは大体恋愛小説を読むんですけど、好きなんですよね、恋愛もの。人間の描写が細かく描かれがちだし、感情の動きが文章で見えるのってすごい!ってなるので好きなんですけど、最初は、恋愛小説をよく書いていました(書きやすいので)。学生時代の私のクラスは、全員女子で、みんな恋愛小説ばかりだったので毎週毎週きゃーきゃー言いながら合評して楽しかったです。平安時代もこんな感じで女子たちは和歌を読んでいたのかなと思ってました。その後、三島由紀夫しか扱わないクラスに入ってしまい苦しめられましたが。
というわけで今回は、わたしがたぶんはじめて書いた恋愛小説を載せようと思います。短めなのでよかったら読んでください。
意義
有意義な時間とは何だろうか。趣味に時間を費やすことか、はたまた将来のために勉強することか、早起きして朝ごはんを作ることか。もしかしたら生きていくために役立つような本を読むことかもしれない。それでもふたりは無意義な時間が好きだった。好きだと思っていた。何もしないで時間だけが過ぎていく、カーテンに吹く風と温度だけを感じる。いつのまにか夜になっていた日も、深夜に食べるチーズをさらにトッピングしたピザだって、彼の作る絶対に分量がおかしい味が濃すぎるラーメンだって大好きだった。
はじまりが突然なら当然おわりも突然だ。
この国を出ていくと決めた。全部捨てよう。駅から遠いせまい部屋も、そんなに大切じゃない友達も、我ながらそれなりにこなせていた仕事も。そして柄にもなく遠距離恋愛していた彼をも。すべて置いて逃げなければいけない。衝動に駆られたらすぐに行動しなければならないのだ。わたしはこれまでだってそうやって生きてきた。
「意義を探しにいきます」
なんとなく一通だけメールを入れた。これで終わりだ、これで終わり。思っていたより愛していたみたいだった。携帯を投げ捨て、ばかみたいにでかいキャリーケースに好きな服だけを詰める。何をやっているのだろう。いつからか体の中に沈んでいた鉛は、旅立つ準備が終わっても消えなかった。溶けてくれるとでも思っていたのだろうか。
「そっか。なっがい高速バスも、人しかおらん東京も飽きたけど、お前の為なら何回でも行きたかったなあ。」
携帯を手に取ると同時に返信が来た。彼の言葉はあまりにも鋭利で、歪んだ心は痛んだ。あの人も泣いたりするのだろうか。
大阪はごちゃごちゃしてて苦手だったし、彼も汚いからと東京を嫌っていた。それでもふたりは愛し合っていれた。いっそのこと一緒に逃げてしまおうか、邪心が蝕むが巻き込むわけにはいかない。彼の言葉もいずれは、埃を被った思い出になる。全部むかつくほど綺麗に、過去になっていく。そんな過去を超えることはできないのだ。だから逃げる。逃げなくてはいけない。
過去の連載記事はこちら
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