最後はアンサンブル8人全員がステージに勢揃いして一緒にパフォーマンス

4人目の主人公はTIRI。ここではまた少し趣が変わったシーンを見せる。都会で同棲中の恋人と別れて部屋を出る…、そんな人生の大きな転換点となる1日を表現。別れ際の男女の会話のやり取りを経て、印象的なピアノのイントロが流れ出すと、玉井が作詞を手掛けた「Sepia」へ。スーツケースを片手に歩きながら歌うTIRIと別れた恋人役の西田至 / ITARU [龍宮城]の今回限りの特別なデュエットバージョンとして披露。ステージ後ろのビジョンにセピア色の写真が次々と写し出される中、サビのパートで2人が歌いながらステージ中央ですれ違うところは、まるで映画のワンシーンかのように描かれていた。そして、TIRIが駅に到着して電車に乗ると、ももクロの楽曲「Brand New Day」へと続く。アンサンブルは小道具の椅子を動かしながら、移動する電車の様子を表現。ここでも、玉井のソロ曲とももクロ楽曲との組み合わせで、恋人との別れから新たな旅立ちを決意した女性の心情の変化などを見事に伝えた形だ。

そして、5人目はお人形遊びが好きな小さな女の子MAIのストーリー。両親が共働きのために、毎日家で一人遊びをしているという設定だ。コミカルなBGMに合わせて、積み木遊びやお人形遊びをしているMAIのもとに、大きなぬいぐるみMOMOが現れて、MAIを空想の世界へと誘っていく。このブロックでは、ももクロの楽曲「momo」がMAIの世界観を見事に再現。もともと、「momo」は玉井が歌い出しを担当するももクロのライブでも人気の高い曲だが、今回は玉井がMAIに寄せて歌唱。会場が黄色一色に染まる中、いつもよりも幼く子どもっぽい雰囲気で歌う姿がとても新鮮で印象的だった。さらに、全編英語詞の「Spicy Girl」へと続いていく。この曲ではアンサンブルのメンバーがMAIと全く同じ衣装で登場し、迷い込んだ鏡の中の世界を表現。さらに、ミラーボールが武道館の天井を照らし出して煌びやかな空間を演出し、今回のブロックの中で最もメルヘンチックでファンタジーなパートとなった。

6人目の主人公は、絵の中の女性RIO。波の音が聴こえてくると、絵の中に描かれていた女性がリアルなRIOに姿を変えて現実世界に飛び出してくる。青のワンピースに麦わら帽子、そして、裸足のRIOは砂浜をゆっくりと歩きながら、中森明菜「スローモーション」のカバーと「マリンブルー」の2曲を続けて披露。今回のソロライブで、「スローモーション」を生で聴きたいと思っていたファンは特に多かったことだろう。歌詞に合わせ、ステージを大きく使って踊るRIOが「スローモーション」を歌い終わると、ひと際大きな拍手が沸き起こる。青一色に染まった会場の景色もとても神秘的だった。

6人の登場人物を演じた後、7人目に登場したのはSHIORI。白のワンピースで登場したSHIORIは最も玉井本人に近い人物として描かれていく。再びテーマ曲「Maison de Poupée」が流れ出すと、プロローグと同じくベッドに横になったシーンに。目覚まし時計のベルが鳴りSHIORIが起き上がると「Another World」で最後のブロックがスタート。30歳の誕⽣⽇の朝が再び始まる。すると、ステージ上にはここまで演じてきたAMI、SIHO、HIROMI、TIRI、MAI、RIOの6人が次々と登場(実は、彼女達の名前はすべてTAMAI SHIORIのアナグラムとなっていた)。続いて、タイトルコールからソロライブの定番曲「We Stand Alone」へ。おなじみのサビのクラップで会場に一体感が生まれていく。徐々にではあるが、会場のファンもアンサンブルキャストの一部としてミュージカルに加わったような感覚で、ライブを楽しめるようになっていたようだ。そして、ラストナンバーは「暁」。最後はアンサンブル8人全員がステージに勢揃いして一緒にパフォーマンス。多幸感溢れるミュージカルコンサートのフィナーレとなった。