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    こんにちは。GANG PARADE/KiSS KiSSのキャ・ノンです。まもなく5月も終わり、梅雨目前ですね。雨が降ると低気圧があったり、普通に濡れるのも最悪なので梅雨はあまり好きじゃないですが、そんな中で紫陽花が咲くことは唯一の小さなしあわせです。紫陽花の花が毎日少しずつ開いて、色付いていくのを見るのが、一時期大学へ行くモチベーションだったことがありました。というわけで今日は、そんな時期に人生で初めて書いたエッセイを載せたいと思います。

    紫陽花

    毎日歩く最寄り駅までの道のりで静かに揺れる。青々とした葉に青紫の小さな花が肩を寄せ合って咲いている。それはこの時期にしか見られない紫陽花だ。寒い日を通り越して少しずつ梅雨に向かおうとする五月。ふと街は日常に存在しない色が少しずつ増えていく。私はこの時期が好きだ。青、青紫、紫、ピンク、白、赤。いろんな色の紫陽花がそこかしこで花を咲かせている。雨の降る日はうれしそうに、晴れた日はおとなしくそこにいるような気がする。私はある日、紫陽花の匂いを知りたくなって誰もいない夜に近づいて嗅いだことがある。しかし紫陽花は何の匂いもしなかった。ただそこにいるだけ。それだけで優しく寄り添ってくれるような花だ。
    今年の梅雨は短かった。少しだけ雨が降ったと思えば、一瞬で夏が顔を出した。紫陽花の命も梅雨と同じように終わりを迎えようとしている。街は色を失い褪せていく。私はそれを見守るだけで何も出来ずにまた今年も終わってしまう。憂鬱な気分になるこの時期を少しだけ救ってくれる紫陽花に感謝している。また来年もこの季節を迎えて何も出来ずに終わる自分にかなしくなるのだろうか。

    過去の連載記事はこちら
    https://strmweb.jp/tag/ca_non_regular/

    キャ・ノン

    「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する11人組アイドルグループGANG PARADEのメンバー。また、「KiSSをあなたにお届けchu!♡」をキャッチコピーに活動するWACK初の王道5人組アイドルグループ『KiSS KiSS』のメンバーの一人でもある。ライブ好きで、苦手なことや、できないことは出来るようになればいいというタフでロックな精神の持ち主。2024年5月31日より自分自身のライブレポートなどを綴った『アイドルリアル備忘録』をSTREAMにて連載中。