“心”で始まり“心”で終わる全10曲、前作以上に心の内面に寄り添った映像集に

――それぞれの楽曲に思い入れがあると思いますが、やはり、「僕らは今」は特に思い入れが強い作品になったのではないでしょうか?

水瀬 そうですね。この曲はまさにコロナ禍のタイミングで、何か形にできないかなというところから生まれたMV作品です。もともとはコロナを踏まえて作った曲ではなく、ライブでファンの皆んなとひとつになるために作っていた曲なんですけど、結果的にとても意味を持つ楽曲になって、自分が想像している以上にたくさんの人の背中を押せる曲に育ってくれたなと思っています。コロナ自体はとても悲しくて苦しいことでしたけど、それがあったからこそ形になった作品ですし、みんなで乗り越えていける力になった曲だと思っています。

――改めて見ても、曲の後半で、背景にファンの皆さんの顔が映し出されたところでグッときますね。

水瀬 本来はライブで完成させる曲なので、当時は「僕らは今」の完全体を想像しては切なく悲しい気持ちになっていたんですけど、このミュージックビデオのために、本当にたくさんの方が動画を送ってくれました。ファンの皆さんのパワーもこのミュージックビデオには集約されています。困難があってもそれを乗り越えることができた私達の本当の絆や繋がりを映像作品として残せたことは、私にとっても大きな励みになったと思っています。

――制作当時は、どんな思いだったのでしょうか?

水瀬 1人じゃないんだ、みんなの思いを繋げることでこんなにも素敵な景色が広がるんだということを感じて、改めて早くライブをやりたいなと思いましたし、次にライブで会える時には絶対にもっと素敵な人でありたいという覚悟や決意みたいなものもこの曲からもらったような気がしています。

――ありがとうございます。今回は、本当に色んなタイプの10曲が収められていますので、他にも色々聞かせてください。1曲目の「ココロソマリ」はドラマ仕立てになっていますが、こちらの撮影はどのように行われたのですか?

水瀬 私は桟橋の上で歌うシーンや浜辺を歩くシーンぐらいだったので、早々にOKが出てしまって…。本当にこれで帰ってもいいのだろうか?といった感じだったんですけど、ドラマパートの撮影は続いていたので、もちろん見学させていただきましたし、後日、俳優の皆さんにお礼のお手紙を書いたりもしました。この曲は自分で作詞した楽曲なので、ドラマという形で曲の世界観を広げてもらって、本当に新たな感覚を味わうことができました。

――初の海外撮影となった「heart bookmark」についても是非教えてください。

水瀬 もともと、昨年8月リリースのHalf Album「heart bookmark」のジャケットやツアーグッズの撮影を兼ねてパリに行ったんですけど、ちょうど滞在中に、岩里祐穂さんから歌詞が届いたんです。それで、リップシンクと言われる歌詞を口ずさむシーンも撮れるねという話になり、急遽メイキング撮影と合わせて、パリの色々な場所でリップシンクのシーンも撮影して、ひとつの作品に仕上がりました。まさしくブックマークする曲なので、私としてもこの曲を映像作品として残せてとても嬉しかったですし、思い出に残るMVになりました。

――とにかく楽しそうな水瀬さんの姿が印象的でした。

水瀬 本当にただただ楽しかったです(笑)。「heart bookmark」なので、監督さんからは「カメラを向けたらたくさんハートマークを作ってね」と言われていました。本当に長くお世話になっている方なので、「今、恥ずかしがったでしょ?」と見抜かれたり、「ちゃんとハートを作ってくださいね」とか言われながら、和気あいあいと楽しく撮影したので、本当に等身大の私が収められていると思います。私ってこんな風に笑っているんだ!?と自分でもこの映像を見て改めて知りました。

――全10曲の今回のミュージッククリップ集、改めてどんな作品になりましたか?

水瀬 「ココロソマリ」で始まって、「heart bookmark」で終わるので、“心”で始まり“心”で終わるという美しい流れになっています。今回は、伝えたい気持ちや根底にある思い、目には見えないけれど大切にしたい心、そんな自分の内面に寄り添った楽曲が多かったなと感じていますし、それらを前作とはまた違った形で映像として表現できた作品集になったなと思っています。