いろんなバイトを経験したことが自分ならではの長所になるはず
――養成所に入るための資金はどのように工面されたのですか?
酒井 親に頼りたくなかったので、自分で工面しました。だからバイト漬けの日々でしたね。
――たとえば、どんなアルバイトを経験したのですか。
酒井 工場の梱包作業、居酒屋、カラオケ、バー、引っ越し、宅配便、ブライダル関係など、本当にいろんなバイトをしました。せっかくだから、いろんな経験をしたほうがいいと思い行動していました。。
――特に印象に残っているバイトはありますか?
酒井 引っ越しのバイトは大変でした。力だけじゃなくて、持ち方のコツがあるんです。あと工場の梱包作業中とかは、そのときに入っていたお芝居のセリフをブツブツ言って覚えていました。バイトを通じて、いろんな職種を経験できたことは貴重でしたし、僕ならではの長所になっていると思います。この経験を今後も役作りなどに活かしたいと思います。
――厳しい生活の中で、演技への情熱は保てましたか?
酒井 苦しい部分もありましたが、やりたいことを楽しくやっていたので、あっという間の毎日でした。その頃は養成所で舞台に立つ機会もありましたし、自主映画にも出演させていただきました。そういえば、この時期に北野武監督の映画『首』(23)にエキストラで参加させていただいたんです。そのときに中村獅童さんをお見かけする機会があったんです。
――映画『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』(23)で共演されていますよね。
酒井 そうなんです!「まさか2年後にご一緒できるとは!」と感慨深いものがありました。実際に現場でお会いすると、ものすごくオーラがあって緊張もしたんですけど、すごく気さくな方で、お芝居を通して呼吸の大切さなどを教えていただいて勉強になりました。
――『首』でお会いしたことは、獅童さんに伝えたんですか?
酒井 はい。お伝えしたら、ものすごく驚かれていました。
――養成所に通う方の年齢層はどんな感じだったのでしょう。
酒井 年齢層はバラバラで、10代から40代くらいまで幅広かったです。僕と似たような生活を送っている人がたくさんいたので、みんな頑張っているんだなと励みになりました。養成所を出た後は、俳優業をやっていたものの、事務所に所属していなかったんです。いわゆるインディーズと呼ばれる立場で、作品もずっと自主制作でやっていました。そういう中で「レプロ30周年主役オーディション」があり、それに合格して今、こうして頑張っています。レプロに入ったことは、間違いなく自分の人生の中で大きなターニングポイントだったと思います。
Information
舞台「狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕 達は愛した~」(稲葉賀恵演出)敬二役で出演決定!
2025年10月11日(土)~18日(土) 東京・IMM THEATERにて公演予定。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI