昨年の25周年イヤー最大の出来事はRHYMESTERとのコラボレーション

――ここからは新曲について聞かせてください。まずは「独ガク2025」でも披露されていた「4v4(フォーヴイフォー)」について。曲が生まれた経緯などから教えてもらえますか。

GAKU サッカーはもちろん観るのも大好きなんですが、最近、子ども達がすごく面白いサッカーの大会をやっていることを知りまして…。それが本田圭佑さんが発起人として始められた「4v4」という小学生の4対4のサッカーでした。ショットクロック内にシュートを打たないと相手に攻撃権が移ってしまうとか、シュートを打った場所によって得点が変わるとか、何よりも監督がいないので自分達だけで考えて、チームで自主性を持った試合運びをするというところが面白いなと感じました。試合を観ていたら、自然と頭の中にフレーズが浮かんできて曲にしたいなと思って、出来上がった曲を担当者の方に聴いてもらったら「是非応援ソングに!」と言っていただき、この曲が完成しました。

――オファーが先ではなかったのですね?

GAKU そうですね。まずは、「4v4」というサッカーに触れて、そこからインスピレーションが湧いたので、遊び心も詰め込んだ曲になりました。MUSIC VIDEOでは、子ども達のサッカーシーンが描かれていてグッとくるものもありますので、是非見てほしいです。

――そして、先日、「HEROsのテーマ」も配信リリースされました。こちらは、社会課題解決の輪を広げるプロジェクト『HEROs ~Sportsmanship for the future~』のテーマソングということですが、こちらの曲についても教えてください。

GAKU 何年か前に、「HEROsの活動に是非参加してください」というお声がけをいただきまして、僕もアスリートの方と被災地に行って炊き出しをするなど一緒に活動を続けてきました。活動を共にする中で、トップアスリートの皆さんが引退した後に、社会の為、地域の為に尽力している姿を見て心を動かされました。HEROsの活動は、アスリートがやっていることですけど、その活動に感化されたボランティアの人達も、僕の中ではみんなヒーローだなと思っていて。誰もが困っている時があって、誰もがそんな人達にとってのヒーローになることができるし、いつかそのお返しをすることもできるという…何だかそういう循環がすごく素敵だなと思って、僕も自分のやっていることでもっと貢献したいという気持ちが強くなっていって、これも曲が自然と浮かんだんですよね。最近は、そういう曲の成り立ちが多かったです。

――サッカーを愛するGAKUさんが、音楽でこうしたアスリートの活動に関われるというのはどんな思いでしょうか?

GAKU 僕はプロサッカー選手にはなりたくてもなれなかった人間なので、こういう第一線のアスリートの方達と一緒に何かできる、音楽で関われるというのはとても嬉しいことです。過去の自分に言ってあげたいですよね。「お前、サッカーは諦めたけど、音楽を頑張って続けていたら、将来面白いことになっているぞ」ってね(笑)。本当にHEROsには、様々なスポーツ出身のアスリートの方がいて、でも、皆さんとてもフラットなんですよね。そんなアスリート同士が皆さん同じ目線に立って、一緒にできることをやっていこうと活動する姿は本当に素晴らしいなと思っています。

――ありがとうございます。改めて、昨年25周年イヤーは新たな出会いや再会に溢れた1年だったと思いますが、その中でも特に印象に残っているのはどんな出来事でしょうか?

GAKU やっぱりRHYMESTERとの再会が大きかったですかね。ずっと一緒に音楽をやってきたわけじゃないんですよね。会わなかった時期も長いですし、特にここ数年、自分はクラブシーンやヒップホップシーンの中にいるのか?ラッパーと言えるのか?といった場面が多かったような気がしています。もちろん、ずっとラップをやっているんですけど、どこかでRHYMESTERの活動が羨ましいな、かっこいいことやってんなと思っていましたし、ある種、悔しい思いというか、なんで自分はああいう風にできなかったんだろうかと思っていた部分もありました。だから、25周年のアルバムで彼らと同じトラックで歌えた時は、やっぱりRHYMESTERはすげえなと思いながら、一緒に歌えて本当に嬉しかったですよね。

――改めて、このタイミングで一緒にやろうと思ったきっかけは何かあったのですか?

GAKU これは話すと長くなるかもしれないですけど、コロナ禍の頃にRHYMESTERが『MTVアンプラグド』に出たんですよね。それは自分が音楽をやっている中で本当に辿り着きたかった場所のひとつで。アメリカの『MTVアンプラグド』を観て、自分はDJスタイルからバンドスタイルになって、そこから弾き語りもするようになっていって、いつかは『MTVアンプラグド』のような形で音楽をやりたいと思っていたんです。そこにRHYMESTERが出て演奏しているのを観た時に「おめでとう」とは全然思えなくて…。悔しい気持ちでいっぱいで曲ができたんです。それが「自由奔放」という曲なんですが、それをアルバムに入れる時に、RHYMESTERに「一緒に歌わないか?」って言いに行ったところ、「これはもう完成しているから、俺らはどう歌えばいいんだ?」となって、「じゃあ、新しい曲を一緒に作ろう!」という話になり「フライヤー feat. RHYMESTER」という曲ができたという流れです。同い年、ほぼ同じキャリアで、悔しいと思わせてくれるミュージシャンの友人がいることは、桜井和寿もそうですけどね、本当に宝物だなと思いました。