未成年だった頃の自分とフロアのみんなを重ねられるような思いを込めたU20限定ライブ
——「HANERO!!!」のMVは、SKYWALKERさんがディレクターを担当していますが、何度目のお仕事ですか?
Novel Core 今回で6本目ですかね。初めて一緒にやったのが「SKILL TEST」で、もともと横浜のヒップホップ・クルー「Back Street Blues」と仲良くさせてもらっていて、そのメンバーの一人が彼で、その流れで一緒に映像を作ることになったんです。
——制作プロセスを教えてください。
Novel Core 僕としては二人で作っている感覚が強くて。もちろん細かいテクニカルな部分は、たくさんの人に入ってもらっているし、いろんな人の知見をお借りしているんですけど。根幹のクリエイティブな部分は、僕とSKYWALKERの二人で話して決めたものからスタートするというか。「こういうことをやったら面白そうじゃない?」「なんとなくこういう画じゃない?」とか、お互いにバーッと話して、それでなんとなく全体の構成が見えてくるみたいな流れです。すごく難しいのは、僕とSKYWALKERにしか見えていない画が結構あって、二人の中では明確にこういう画、こういう照明、こういう角度というのがあるんですけど、それを現場で一緒に作っていくテクニカルスタッフの皆さんに共有していく作業が出てくるので、そこが楽しい部分であり、大変な部分でもあります。
――どうやってスタッフさんに伝えるんですか?
Novel Core 僕たちがイメージしている画に近いものを切り貼りして、いろんな動画をリファレンスで見てもらったり、SKYWALKERにスケッチを描いてもらって企画書を作ったり。そこから、みんなでミーティングを重ねていきます。「SKILL TEST」や「SHIKATO!!!」などSKYWALKERと一緒に作り始めたばかりの頃は、二人で撮影をして、彼がカメラを回して、僕が歌って、その場で映像確認をして、カットの仕方などを話し合って、次の日にはデータが納品されているというスピード感で仕事をしていました。今は僕とSKYWALKERの連携プラス周りのスタッフさんの熱量が重なって、より強くなっています。今SKYWALKERがパートナーシップを持って一緒にやっている映像チームも、デビュー当時から僕のライブを撮っているチームなので、それぞれの解像度も高くて、コミュニケーションが上手くいっています。
——「HANERO!!!」の衣装はどのような意図でスタイリングしたのでしょうか。
Novel Core ライダースを羽織っているけど、下はドカッとしたシルエットで。これがレザーのスキニーとかを穿いていると完全にロックになっちゃうので、僕のスタイルはそこになくて。ファッションも含めて、自分のアイデンティティを出したかったので、Balenciagaの3XLも履いて、下半身は明らかにヒップホップなんだけど、上にライダースを羽織っているアーティストはロックシーンにもヒップホップシーンにもいない気がするので、そこは自分の色を出せたと思います。赤チェックのビッグシルエットのシャツは『BABiES AGAiN』のジャケットで赤ちゃんになった僕が着ている服そのままです(笑)。バンドメンバーの衣装もディレクションさせてもらって、すごく楽しかったですね。
――最後に10月・11月に開催する「BABiES AGAiN TOUR」についてお聞かせください。
Novel Core THE WILL RABBITSと共に回るツアーということで、DJセットから始まった春のツアーとはまた違ったライブになります。大阪と川崎で得たものをしっかりとバンドの中でフィードバックし合って、さらに上の段階をみんなに見せようと。ライブハウスの規模的には小さいので、より倍率が高くなっちゃうけど、それでも密度の高いところからバンドでのライブをやっていきたいので、ある意味、デビュー戦みたいな気持ちで臨むツアーでもあります。春のツアーでは福岡や仙台など、他にも主要都市で行けていない場所もあるんですけど、そこも後々回収することは考えているので、まずは名古屋と東京を回らせてもらいます。
――11月12日に渋谷のclubasiaで開催するライブはU-20限定です。
Novel Core 20歳以下限定のライブということで、初めての挑戦なんですけど、今僕のライブに来てくれているOUTERの中で、20歳以下の割合は少なくて。かといって20歳以下の子たちからの認知度がめちゃくちゃ少ないのかっていうとそうではなくて。実は「オオカミちゃん(月とオオカミちゃんには騙されない)」とかMCバトルの影響で、そのぐらいの年齢の子たちからの認知度も高かったりもするので、このギャップはもったいないし、もしかしてその子たちが参加しづらいハードルがあるんだとしたら、それは今いるOUTERが悪い訳でもないし、僕たちが悪い訳でもないし、そこに飛び込むのを怖がっているU-20の子たちが悪い訳でもない。誰が悪い訳でもないので、全部を毀損しないように、その子たちに参加してもらうハコを新しく用意しようということで企画しました。実は2年前ぐらいからやろうと言っていて、「OUTER会議」という個人的な配信でも話したことがあったんです。そこからブラッシュアップを重ねて、チーム内でも「どういう説明の仕方だと、この世代に対して誤解を与えないのか、傷つけないのか」というのを話し合って、運営の方針を固めて、ようやくここでスタートできます。
――OUTERの反応はいかがでしたか。
Novel Core 21歳以上で参加できないというOUTERの中でも応援してくれている子たちが多くて、自分の身の回りにいる20歳以下の子に声をかけてくれてるOUTERもいます。そういう雰囲気は今回の春ツアーでより強まったと思うし、ありがたいですね。ちゃんと全員に喜んでもらえる状況を作るためにも、必死に今回のツアー頑張りたいなと思っています。
――会場にclubasiaを選んだ理由は?
Novel Core 自分自身にとっても初めてのチャレンジなので、後々、思い出深いハコになるし、どこら辺のエリアがカルチャー的にもいいんだろうといろいろ考えた上で、今の自分のライブのスタイルも踏まえると、clubasiaがすごく合っているというか。僕もラップを始めたての頃、clubasiaで開催されたオープンマイクのイベントに飛び込んで、マイクを握ってラップしたりもして、未成年の頃の僕を育ててくれたハコの一つでもあるので、そこで今の若い子たちと一緒に何かを作るのは、大切なんじゃないかなと。当時の自分とフロアのみんなを重ねられるような、そんな思いもあります。
Novel Core
東京都出身、24歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。
高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。
ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。
2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。
大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。
また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。
FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。
音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI