幼い頃から持ち続けていた「歌う人になりたい」という想い
――キャリアについて伺います。にしなさんの音楽のルーツを教えてください。
にしな 幼い頃から歌うことが好きで、幼稚園の手遊び歌を親に褒められたのがきっかけで「歌うのが好き」と思うようになりました。実家ではR&Bがよく流れていたし、小学校に入ってからはゆずさんやコブクロさんのようなアコースティックギターで作られる曲を聴くようになって、私も「歌う人になりたい」と思っていました。
――人前で歌う機会も多かったのでしょうか?
にしな シャイだったので行動には移せず、憧れのままでした。中学時代にはクリープハイプさんやRADWIMPSさんのようなバンドサウンドを聴くようになって、高校時代にはハナレグミさんのようなアコースティックサウンドを聴いて、音楽のジャンルも広がっていき、高校2年生で曲を書きはじめました。
――曲づくりをはじめたきっかけは?
にしな 小学校からの幼なじみで、歌手を目指している子がいました。音楽は好きだったのですが、特に何もしていない時期に、その子が通っていた音楽スクールでレッスン生を募集中だという話を聞いて、何かをはじめるきっかけになればと思って応募して、曲を作ったりライブに出演するようになりました。
――そして、2021年4月に1stアルバム『odds and ends』でメジャーデビュー。キャリアを重ねて、プロとしての自信は生まれましたか?
にしな 今も持てていないです。音楽のプロに「なれたらいいな」と思いつつ「ダメだったらどうしよう」と思うことが多かったです。マネージャーさんと出会って音楽の世界に飛び込みましたが、今も半信半疑です。自信があるかないかより「なるようになるかな」という感じで、活動を続けています。
――アーティストとして、仕事のやりがいも感じていますか?
にしな 出会う人や環境によって自分の中身が少しずつ変わり、その経験を曲として表現できるのが面白いです。これから自分がどう変わっていくかも楽しみですし、私の曲で、ファンのみなさんの日常に寄り添えるのもありがたいです。その道をきわめるカッコいいスタッフさんに囲まれる刺激もあります。そんなみなさんの期待に応える曲を作りたいと思えるのは、大きなやりがいの一つです。
――作詞作曲を手がけられていますが、曲づくりには孤独な時間もあるのかと思いますがいかがでしょうか?
にしな 抱え込み過ぎて辛くなると不安定なときもありますし、楽しく作れるときもあります。気分の波を避けるために、最近では「手放す」を意識するようになりました。不安定なときに向き合い続けると苦しいので、楽しい曲を作ったり、友だちと話したり、旅行したり、いい波が訪れるタイミングで再び向き合うようにしています。
――アーティストとしての将来像も教えてください。
にしな これまでは「いい曲を届けよう」として、自分と向き合う機会が多かったのですが、最近は何かに貢献できればという気持ちが強くなってきました。他のアーティストの方々、ファンのみなさんから与えていただいく経験を重ねるにつれて、大げさではなく、後の世代に何かを残すことが「今まで、何かを与えてられてきたことの意味かな」と、思うようになりました。少しずつ自分を幸せにできる余裕が出てきたので、今度は自分なりに何かをお返しできるようになりたいです。
INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO