ゆったりとした暖かい空気が流れている現場

――『ストロベリームーン 余命半年の恋』は當真さんにとって、⻑編映画初主演となります。

當真あみ(以下、當真) 初めて原作と脚本を読ませていただいたとき、自分のお芝居で作品の雰囲気が大きく変わっていくんだろうなと感じて、しっかりと責任感を持って挑まなきゃいけないなと思いました。

――原作と脚本では、印象も違いましたか。

當真 原作は齋藤潤くん演じる⽇向くんの目線で進んでいくんですけど、脚本は私が演じる萌の視点を中心に動いていくので、どちらも読むことで答え合わせをしているような感覚になりました。二人のピュアな恋愛や、友達との友情に加えて、親子関係など家族のことも深く描かれていて、映画全体に温かみをプラスする要素だなと思いました。

――脚本を読んで、どんなメッセージを受け取りましたか。

當真 萌が余命半年しかないと宣告されて、残り少ない時間の中で、どのように生きるかという力強さ、勇気や希望を感じました。高校生時代と、大人になった13年後の時代が交差して、思いの一途さや気持ちの強さも描かれているので、心が温かくなりました。

――萌にどんな印象を受けましたか。

當真 天真爛漫で少し天然っぽさもあるキャラクターだなと思いました。基本的には明るい性格なんですが、一人になったときに、また違う一面が見えてくるんですよね。病気で学校に通えていなくて、ずっと一人でおうちにいたというところから、あまり世間を知らないという天然っぽさを、どの程度出せばいいのか探りながら役作りをしました。

――萌に共感する部分はありましたか。

當真 余命を告げられても前向きに生きようとする姿勢、やりたいことを全力でやろうとする明るさに共感しました。私も萌と同じ立場なら、悲しんでいる暇はないと思うタイプです。ただ自分とは違うなと思う部分も多くて、たとえば萌は自分の気持ちに素直なので、相手にストレートに伝える真っすぐさがあります。そこは萌ならではの性格ですね。

――萌の洋服はたくさんのバリエーションがあって、見どころの一つですが、衣装合わせはいかがでしたか。

當真 たくさんの候補があって、酒井⿇⾐監督のイメージを聞きながら、みんなで選びました。ワンピースが多いのですが、病気を患っているということから、あまりピタッとした服ではないという背景もありますし、萌のおうちの雰囲気に合う可愛らしい衣装を、いろいろ試着して選んでいきました。

――撮影が始まって、主演のプレッシャーはありましたか。

當真 もちろんあったのですが、強く感じるということはなかったです。というのも最初の撮影が、萌の両親役のユースケ(・サンタマリア)さんと田中(麗奈)さんとのシーンから始まったんです。明るく気さくなお二人がいることが心強かったですし、本番以外も萌のお父さん、お母さんのように優しく接してくださって、緊張をほぐしていただきました。

――実際の親子のような関係性だったんですね。

當真 私が会話の中で「毎日スイカを食べています」という話をしたら、田中さんがスイカを買ってきてくださって。同じホテルに滞在していたので、「ドアノブにかけておくね」とメッセージをくださったこともありました。いろいろ気にかけてくださってうれしかったです。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

當真 映画全体の雰囲気そのままに、ゆったりとした温かい空気が流れている現場でした。スタッフさんとの距離感も近くて、話し合いながら撮影が進んでいきました。撮影時期が去年の8月で本当に暑くて、皆さん水分補給に気をつけながらの撮影だったのは大変でしたが(笑)。

――齋藤さんは今年7月から9月に放映されたドラマ「ちはやふるーめぐりー」でも共演されています。

當真 撮影自体は映画のほうが先だったんですが、潤くんは⽇向くんと同じような雰囲気を持っていて、現場にいる間も役のままでいたという印象だったんです。ところが「ちはやふる―めぐりー」では全く違う雰囲気だったので、役を意識して現場にいたんだなと驚きました。