言われたことに対して素直に従うのが自分の取り柄
――グループでの活動はいかがでしたか。
日野 メンバーとも仲が良かったですし、歌って踊ることも楽しかったですし、ファンの方を大事にしたいという思いから、グループを残しておこうという話し合いもしています。当時は十代で思春期というのもあって、先のことを考えた時にグループ活動を軸にしていくことに対して、素直に首を縦に振ることはできなかったんです。ただお芝居に関しては、いつか結婚して、子どもができて、おじいちゃんになっても、ずっと俳優として生きていきたいと心から思えたんです。だから、勝手に俳優は天職なのかなと思っています。

――歌とダンスの経験は、お芝居にも活きていますか。
日野 間違いなく活きています。正直、十代の頃は大人が言うことに対して、冷たさ、理不尽さ、無責任さを感じていたんです。それはサッカーの監督もそうだし、グループ時代のマネージャーさんや先生、親もそうです。ただ年々、大人たちが言っていたことは正しかったんだと痛感します。
――当時は反抗心もあったということですか。
日野 心の中ではありましたが、言われたことに対して素直に従うのが自分の取り柄だと思っていて、決して突っ張ることはなかったんです。それは当時の自分を褒めてあげたいんですが、その時の貯蓄があったからこそ、俳優になった時にインプットから始まるのではなくて、インプットしたものを自分なりに噛み砕いて、アウトプットできていたと思います。この気づきが早ければ早いほどいいに越したことはなくて。あとは気づいた自分に嘘をつかないように、日々お仕事に向き合っていくことを大切にしています。
――俳優デビュー後は舞台を中心に活動されていましたが、『仮面ライダーガヴ』に出演することになって、映像作品への移行はスムーズにできましたか。
日野 最初はてこずりました。ドライをしたこともなければ、カット割りも分からなくて、杉原輝昭監督に手取り足取り教えていただきました。ただ仮面ライダーは子ども向け番組という大前提があるので、入りやすかったところもありました。壁にぶち当たるというよりは、日々いろんなことを学ばせていただきながら、とても充実した時間を過ごすことができました。
――特撮アクションということで、全身で表現するシーンが多いという点では、舞台に通じる部分もあったのではないでしょうか。
日野 アクションもそうですが、絆斗は感情が爆発したり、ボロボロになったりすることが多かったので、表現の幅を狭くしないということを一つのテーマに掲げていました。『ギルティ・パルフェ』にも登場するメインキャラクターで言えば、主人公のショウマはグラニュートと人間のミックスでかわいらしい雰囲気がある。ラキアはクール、幸果はギャルという特性がありますが、一番キャラの振り幅が大きいのが絆斗なんです。だから本編の序盤から、「絆斗はこうでしょう」とか「これは絆斗っぽくない」と決めつけずに、その幅を広げ続けたのが俳優としても糧になりました。シリアスなシーンも、コメディーシーンも対応できる幅は一番あったキャラなのかなと思います。

――俳優として、今後の目標を教えてください。
日野 日野友輔が出演している作品なら絶対に観たい、きっと面白いと、皆さんの期待と信頼に応えられる、日本を代表する俳優になりたいという夢を持っています。そのために何が必要かと考えたら、出会う作品一つひとつに全力で向き合い、120%を出し切る。そして、いろんなものを蓄えて、いろんな表現を積み重ねていくしかないと思っています。具体的な目標で言うと、僕が主演、杉原さんが監督で作品ができたらうれしいですね。そんなことを、杉原さんの誕生日にサシ飲みした時に話しました。
――熱いですね!
日野 その日は吉祥寺で昼の1時から夜の8時まで7時間も杉原さんに付き合わされました(笑)。杉原さんは酔っていましたが、覚えていないとは言わせません。約束ですからね!
――最後に、改めて『ギルティ・パルフェ』の見どころを教えてください。
日野 『仮面ライダーガヴ』は1年間応援してくださった皆さんが育ててくれた作品だと思います。そのVシネクストということで、ショウマ、絆斗、ラキア、幸果、そしてリゼルが本編後のストーリーで、どのような運命をたどるのか、どういう締め括りになるのかを、ぜひ劇場で見届けていただきたいと思います。ただ、これでおしまいではなく、これからもガヴの世界線ではこうやってみんなが生きていくんだという余韻が感じられる素敵なものになっています。絆斗としては、この1年で一番かっこいいので、ぜひキャーキャー、しくしく、ガヴガヴと言って楽しんでいただけたらうれしいです。
Information

Vシネクスト『ギルティ・パルフェ』
2025年11月28日(金)より期間限定上映
知念英和 日野友輔 宮部のぞみ 庄司浩平 鎌田英怜奈
田淵累生 たかし(トレンディエンジェル) 小松利昌 (声の出演)木村良平
板橋駿谷/新木宏典
原作:石ノ森章太郎
脚本:香村純子
監督:柴﨑貴行
主題歌:「Super Delicious」Gateau・Trois(avex trax)
仮面ライダーたちの戦いが終わり、闇菓子がこの世から消えて、しばらく時間が流れた。なんでも屋「はぴぱれ」では、人間界に残ったグラニュートたちに仕事を斡旋し、【人間とグラニュートの共存】は、少しずつ実現へと向かっているはずだった。ある日、絆斗は街で出会った傷ついた少女たちとともに「狩藤医院」を訪ねた。そこは、表立って病院へ行けない事情のある者たちを診ている怪しげな病院だったが、医師・狩藤の腕は確かだった。治療を受けた少女たちの日常が気になり、ひそかに尾行すると、彼女たちのグループには、なんと、あのリゼルがいた。父・ボッカを亡くし人間界に残されたリゼルは、今では不良少女たちの用心棒のような存在となっているらしい。さらに、グループの中にひとり、若い男性がいることが気になった絆斗は、今度は彼を探ることに。男の正体は、グラニュートだった。闇菓子をふたたび流通させようとたくらんでいるようだ。複雑な心境の絆斗を、胸の激痛が襲う。かつての改造手術が、彼の身体に著しく影響を及ぼしていた。さらに、ボッカに恨みを抱く、グラニュートのイジークまで出現して……!
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI
