みんながその場をしっかり生きていて、観た後にスカッとする映画
――現場の雰囲気はいかがでしたか。
寺本 撮影が巻くことが多いくらいテンポが良くて、全体的にスムーズな撮影でした。最初からグルーブ感がみんなにあって、撮りたいものが一致していたので、そこで意見の相違もなかったですし、そうならないように入念にリハーサルを重ねたんだと思います。
池田 みんな仲が良くて、穏やかな現場でしたね。

――新宿SANCに住む面々は、みなさん役者さんなんですか。
池田 役者さんもいますが、監督の弟さんや親戚、お友達がたくさん集まってくれました(笑)。
寺本 小さい子たちも含めて秋葉家が勢ぞろいで、自由な空気感がありました。プロの役者さんではないので、カメラが回っていない時もしゃべり続けていて、どこまでもリアルなんですよね。だから本当に飛鳥が、たまたま新宿SANCの集まりに参加しちゃったみたいな気持ちに自然となれました。でも初めてなのに。お芝居も上手でしたね。
池田 かしこまったお芝居じゃないから、わざとらしくないんですよね。
――綱啓永さんと高橋侃さんの印象はいかがでしたか。
池田 綱さんは演じているエドそのままで、面倒見の良いお兄さん。私たちがわちゃわちゃ話している時も穏やかで、横でほほ笑んでお話を聞いてくれるんです。高橋さんは男気のある兄貴。
寺本 高橋さんはメリオそのままで怖かった(笑)。身長が高くて金髪と見た目のパンチが強かったので、この人には近寄っちゃいけないんだという圧を感じました。
池田 それを聞くと、飛鳥が唯一、逆らえなかったのがメリオかもしれないね。
寺本 実際の高橋さんは良い方なんですが、撮影中はメリオになりきっていました。

――後半は雪の中でのロケもありました。
池田 1月に東北で撮影したんですが、一面の雪景色でした。歩くのも大変なのに走らなきゃいけなくて。
寺本 「ここでこけて」という指示もあったよね(笑)
池田 莉緒ちゃんは、こけ方が上手いんですよ。どこがどれだけ深いか分からないから、急にずぼっと足が入ってしまったりして、これは本編に使えるのかなと心配になりながら走っていました。
寺本 真っ白な雪の中を走る画を撮りたかったので、走った後は、同じ足跡を通って戻らなきゃいけないのも大変でした。
池田 ほぼ順撮りで、雪のシーンは最終日の撮影だったので、気持ちも入りやすくてありがたかったです。
――最後に完成した作品を観た時の印象をお聞かせください。
池田 もっとしっとりと終わると思っていたので、音楽が思った以上に力強かったのが意外でした。あと飛鳥がこんなに笑っていたんだとびっくりしました。撮影中、私は余裕がなくて……。飛鳥が笑ってくれている回数が多いのは分かっていたけど、そこに気づく余裕がなかったんです。試写会で観て、飛鳥がこんなに力強く笑ってくれていたんだと感動した記憶があります。
寺本 思ったよりもみんな楽しそうだなと。脚本を読んだ時は暗い内容だなと思っていたんですが、気持ちが落ちるんじゃなくて、前向きになれる作品だなと感じました。みんながその場をしっかり生きていて、終わり方にも希望があって。観た後にスカッとする内容でした。
Information
『東京逃避行』
2026年3月20日より全国公開
出演:寺本莉緒 池田朱那
綱啓永 高橋侃
松浦祐也 深水元基 さとうほなみ
監督・脚本:秋葉恋
主題歌:町田ちま『ネオンと残像』(Altonic Records)
エグゼクティブプロデューサー:藤井道人 音楽:堤 裕介
製作幹事:サイバーエージェント 配給:ライツキューブ 制作プロダクション:BABEL LABEL
©2025 映画「東京逃避行」製作委員会
家や学校に居場所がない⼥⼦⾼⽣・⾶⿃(寺本莉緒)は、”トー横”で暮らす少⼥が綴った⾃伝的ネット⼩説『東京逃避⾏』に憧れ、新宿・歌舞伎町へ。偶然、作者の⽇和(池田朱那)と出会いすぐに意気投合。トー横に流れ着いた⼈々を保護し、⾯倒を⾒るエド(綱啓永)やメリオ(高橋侃)を紹介され、”集まり”に参加するも、そこで⽬にしたのは、衝撃的な現実だった……。⾶⿃は「⼀緒に逃げよ」と⼿を取り、⽇和と⾛り出す。しかし、半グレ組織から怒りを買い、街中から追われる2人。⼀⽅、閉鎖の危機に瀕していた保護団体という「居場所」を守ろうと戦うエドと、危うい選択を重ねて2⼈を追うメリオ。やがて警察をも巻き込み、⼀夜にして事態は急展開を迎える。4⼈の想いと運命が交錯し、夜明けに出すそれぞれの答えとは?闇を切り裂くように、命懸けの逃避⾏が始まった!
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI
