大学時代も社会人となっても「目的から逆算して準備をすすめるタイプ」は変わらず

――西澤さんは2016年にABEMAの運営元・サイバーエージェント社に新卒で就職された当時は、営業職だったんですよね。その2年後、2018年にABEMA初のアナウンサー試験に応募されて、初代専属アナウンサーとなって。9年目となりましたが、自身の環境に感じる変化もありましたか?

西澤 はい。写真集に挑戦した理由にも繋がるんですけど、自分としてはこれまで「正統派アナウンサー」でやってきたつもりでした。でも、ABEMAのアナウンス室が今年(2026年)で丸8年になりますし、ありがたいことに「ABEMAにもアナウンサーがいる」と知ってくださる方が増えてくるにつれて「自分のキャラクターを崩してみると、どうなるんだろう」と、好奇心がわいてきたんです。

以前は、自分の中に「アナウンサーとはこうあるべき」という理想像があったし、崩してはいけないと思っていました。会社が色々な挑戦をしている中で「同じことを続けていても面白くないよね」という空気を感じるようになり、6~7年目ぐらいには正直悩んだタイミングもありました。でも、ABEMAも開局から10周年(2026年4月11日)を迎えますし、それを考えるようになってからは「自分の中にある凝り固まった考えを崩してみてもいいんじゃないか」と思いはじめて、今となっています。

――ただ、一方では変わっていない部分もあって?

西澤 番組では原稿をしっかり読むのはもちろん、進行役として時間を読みながら、話が脱線したら軸を整える基礎は「絶対に崩さない」と意識しています。自分が詳しくないジャンルに関わるときに、一から徹底的に勉強する姿勢も変わっていませんね。柔軟に、どこを変えるべきか、変えないべきかを上手に切り分けられるようになった感覚です。

――かつて取材させていただいた当時、スポーツ番組の台本にビッシリと付せんを張り、調べた情報を徹底的に書き込んでいらっしゃったのも拝見しました。

西澤 今もやっています。仕事では「目的から逆算して準備をすすめるタイプ」なんです。お仕事をいただいたら、まず、自分にとっての難易度を考えて、準備にどれほどの時間が必要かをみきわめています。振り返ると、高校受験でも試験日までを逆算し、自分で決めた1日のタスクをこなしていたので、今の仕事にもだいぶ役立っています。学生時代はテレビ局のアナウンサー試験を受けるために、季節によって開講するアナウンススクールで、通常の講習、夏期講習、冬期講習に「どのタイミングで通えばいいか」と考えていました。

――ただ、新卒の当時はキー局をはじめ、受験したテレビ局ですべて不合格となってしまって。それほど計画を立てていたにもかかわらず、目標を叶えられなかった悔しさも強かったのでは?

西澤 当時はそうでした。でも、今となっては「あの頃の自分では受からなかった」と思います。学生時代に「アナウンサーの仕事とは何ですか?」と面接で聞かれても、よく聞く「視聴者と制作を繋ぐ架け橋です」のような表現しかできなかったんです。アナウンサーとなった今は、自分に何が足りなかったのかが、客観的に分かります。

――悔しさを味わいながら営業職として社会人のキャリアをスタートして、2年後にチャンスをたぐりよせたのは、やはり、奇跡的な印象です。

西澤 営業職だった当時、アナウンサーの夢が破れた直後だったので、気持ちとしてはどん底でした。諦めきれなくて、平日は営業としての仕事をして、土日は副業として外部でリポーターの仕事をさせていただいていたんです。周囲には「アナウンサーの夢をどうしてもあきらめきれなくて」のような話もしていました。そのタイミングでABEMAアナウンサーの募集が一般公募としてかかって、社内向けの募集ではなかったものの、エントリーシートとエントリー動画を提出しました。実は、ABEMAのアナウンサー試験では、一度、お祈りメールが届いているんです。後に誤送だったことが判明したのですが(笑)。噂で「社外向けの新卒採用だから社内の人材は取らない」という話も聞いたことはあったので真相は分かりませんが、ひょっとしたら私の思いも届いたのか、採用していただいて運がよかったなと思います。

――アナウンサーになった当時は24歳でしたが、現在は32歳となって。仕事とプライベートで、価値観も変わってきましたか?

西澤 仕事では、余裕が出てきました。仕事量そのものは、アナウンサーになった当時も今も、依頼を頂いたものはスケジュールが許す限りお受けするスタンスなのでそれほど変わってはいないんです。でも、本番までの準備や取り組み方が分かってきたので、突発的にやるべきことが増えても対応できるようになりました。プライベートとのバランスも取りやすくなったんですが、仕事を優先したい気持ちは変わらないですね。各番組でのアナウンサーとしての立ち周りの難しさは、キャリアを重ねるごとに感じます。例えば『チャンスの時間』では、アナウンサーになった当時はバラエティのルールも知らない状態なので無邪気にできていたものが、経験によって学びが増え、9年目を迎える今の方が緊張するほどです。上手にできなかったと落ち込む日もありますし、経験すればするほど何かが見つかる「終わりのない仕事」という意味で、やりがいを感じています。

Information

作品名: 西澤由夏 1st写真集『Tailwind』
発売日:2026年4月1日(水)

公式サイト

西澤由夏

1993年8月12日生まれ、埼玉県出身。2018年よりABEMAの専属アナウンサーとして活動。バラエティ番組やスポーツ番組など、様々なジャンルでアナウンサーとしての手腕を発揮している。現在のレギュラー出演番組は『チャンスの時間』『ABEMAスポーツタイム』など計6番組。