盟友の小倉久寛は努力家で一番役者に向いているタイプ
――劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下、SET)第61回本公演「ラスト★アクションヒーロー~地方都市に手を出すな~」で、なぜスパイを描こうと思ったのでしょうか。
三宅裕司(以下、三宅) 前回の本公演「堕天使たちの鎮魂歌~夢色ハーモニーは永遠に~」が歌に特化した女性同士の友情の物語だったので、今回は男の友情としてアクションに特化したストーリーにしようと考えました。
――SETが得意とする“アクションの集大成”とのことですが、どのような演出なのでしょうか。
三宅 うちには体の動く若いメンバーがたくさん活躍していますから、3D映像などデジタルなものを一切使わないアナログな舞台で、大道具、照明、音響と、役者の肉体だけで、どれだけすごい喧嘩のシーンが作れるかにチャレンジしています。
――どんなストーリーなのでしょうか。
三宅 ある地方都市で超小型スーパーコンピューターが開発されたのですが、これを悪のスパイ組織が手に入れると大変なことになる。そのスパイ組織と、それを阻止しようとする日本の公安警察の特別部隊がある地方都市に潜入して争奪戦を繰り広げるというストーリーです。
――主人公の三宅さんと小倉久寛さんはどんな役柄なのでしょうか。
三宅 僕は地方都市の町長で、小倉はそこの巡査ですね。今回は小倉の役割がすごいんです。面白い場面には必ず小倉がいる、みたいな。あとは44年続いている劇団ですから、実力をつけた中堅メンバーがたくさんいますので、それぞれが笑いを背負って、爆笑シーンの連続です。
――小倉さんはSET旗揚げから参加されていますし、三宅さんが率いる「熱海五郎一座」のメンバーでもあります。改めて、どんな役者さんですか。
三宅 あの風貌で、毛深くてという見た目のインパクトがすごいですが、空手の段位(空手剛柔流初段)を持っていて。学生時代は体操部にいたので、バク転もバク宙もできる。そして声が二枚目という、彼自身に落差があるんです。実は非常に緊張する人間なんですけど、その分、努力家なんですよね。自分に自信がないから緊張する。だから、ものすごい努力をした結果、舞台上で良い演技ができる。会ったばかりの頃は、なんでこんな奴が役者に……と思ったんですが、今となってはそういうタイプこそが一番役者に向いているんじゃないかと思います。
――今でも小倉さんは本番を迎えるときに緊張しているんですか。
三宅 出会ってから45年ぐらいになるんですが、そこは変わらないですね。一緒にSETを作った旗揚げメンバーですし、劇団には欠かせない存在です。