出演舞台では「え、わからなかった」と帰りぎわのスタッフに驚かれるほどのギャップが

――京都の地で、狸・天狗・人間が繰り広げる騒動を描いた舞台『有頂天家族』は、森見登美彦さんの原作小説をはじめ、アニメ化などもされた人気作品です。

若月 京都では聖地巡礼をされる方もいらっしゃるほどの人気作品ですし、世界観を壊さないようにと思っています。演じるキャラクターが「そこにいる」と感じてもらえるように、本番に向けて、役作りに励みたいです。

――かつて主演を務めた舞台『薔薇王の葬列』など、本作のように原作のある作品への出演も多い印象もあります。根強いファンの方がいらっしゃる作品への出演では、プレッシャーを口にする俳優さんもいますが、若月さんは?

若月 元々のファンのみなさんが観にきてくださるのは心強いし、ありがたいですね。オリジナル作品だと、おもしろいものが完成しても、よさを伝えるまでに時間がかかってしまうと思うんです。ただ、今回でいえば、元からのファンのみなさんが抱く、それぞれの『有頂天家族』があるでしょうし、期待に応えられるように頑張りたいです

――本作については、お話を受ける以前から作品にふれていたのでしょうか?

若月 タイトルだけは知っていました。実際、原作小説を読んだのは、お話をいただいてからです。不思議な物語というのが第一印象で、狸と人間と天狗が登場する作品の世界観が新しかったし、セリフの美しさで感動する箇所が多々ありました。

――その舞台化にあたって、若月さんは作中で人間ながら天狗並みの能力を持つ妖艶な美女・弁天を演じます。メインビジュアルを見ると、ボーイッシュでクールなイメージの若月さんとは、真逆のキャラクターという印象もあります。

若月 お話を受けて「私でいいんですか?」とは、思いました。過去に演じたなかでは、ツッコミ役でサバサバとしたイメージの女性が多かったし、ミステリアスでつかみどころのない役柄は引き出しがないので、挑戦できるのはありがたいです。

――Instagramでは、ポスタービジュアルの撮影風景を動画でアップ。現場では弁天役とのギャップから「恒例の『え、わからなかった。』を頂きました」と、報告していました。

若月 撮影していただいたカメラマンさんから、帰りぎわに言われました(笑)。でも、イメージがそこまで変わるほど、弁天になりきれていたという証しですし、うれしかったです。撮影用のメイクを落として、帽子もかぶっていたので、カメラマンさんが分からなかったのは「そりゃ、そうだよな」と思ったし、舞台の上演がはじまってから、弁天で私を知ってくださった方には、普段の自分とのギャップも楽しんでもらえるかと期待しています。

――11月から12月にかけての約1ヶ月間、東京・京都・愛知を巡る舞台本番に向けての意気込みも伺えれば。

若月 地域ごとでどんな反応が返ってくるのか、楽しみです。過去の出演舞台では、東京と大阪では笑いのポイントが違ったり、でも、その違いが作品に新しいおもしろさを生んでくれると体感して。求められるセリフのテンポも場所によって変わってくるし、今回の『有頂天家族』でも東京・京都・愛知で異なる雰囲気を楽しみながら、自分を見失わずに弁天を演じていければと思います。