自分とは逆の“オカン系女子”を演じるため、9年間伸ばしていた髪を切った

――人気コミックを映画化した今作への出演が決まった時、お気持ちはいかがでしたか?

久間田琳加(以下、久間田) 私自身、少女マンガを読むことが趣味で大好きだったので、マンガ原作の映画出演のお話をいただいたのは、すごくうれしかったです。ただ、この作品は、出演のお話をいただいてから原作を読みました。というのも今までは、ストレートにキュンキュンするタイプの少女マンガばかり読んでいて。ラブコメを読むのは初めてだったんですが、“面白い”と“キュン”が共存するのが新感覚でした。幼なじみ4人の関係性も可愛らしくて、面白かったです。

――今回、久間田さんが演じられる加賀屋楓は“オカン系女子”とのことですが、役作りはどのようにされたのでしょうか?

久間田 楓ちゃんは表情が豊かだし、動きも大きかったりして、最初に原作を読んだ時、「これを私が演じるんだ」というドキドキ感がありました。私は普段から、感情表現や行動を省エネしながら生きているところがあって(笑)。鏡の前で表情や動きを大きく表現する練習をしました。ただ、あんなに大きく動き回ることは今までなかったので、疲れることも多くて……リハーサルの期間も、現場に入るとバチッとスイッチが切り替わるんですけど、休憩でソファに座ったらいつの間にか寝ている、みたいな状態でした。

――原作コミックでキャラクターがすでに出来上がっている役を演じるにあたり、工夫されたことはありますか?

久間田 原作ファンの方もたくさんいらっしゃいますし、マンガ原作の実写映画は、難しいなと感じていました。でも、このマンガが大好きになったので、楓ちゃんに気持ちを寄せていきたいという気持ちもたくさんありました。実際に演じてみて、キャラクターの可愛らしさや、応援したくなる気持ちをみなさんに伝えることができるのは、マンガ原作だからこそだなと思いました。

――役作りの中で、9年間伸ばしていらっしゃった髪を、20cmほどカットされたとお聞きしました。

久間田 それまでは、髪は絶対切りません!というモードだったんです。なのに、この作品のお話をいただいた時、不思議と何も抵抗がなかったんですよ。それまで本当に切りたくなかったのに、「楓ちゃんに寄せられるところは全部寄せていきたい」という思いのほうが上回って。事務所のスタッフさんに原作について説明いただいた瞬間、「じゃあ髪切ります!」と即答したことは今でも覚えてます。

――それだけ、役に入れ込んでいらっしゃったのですね。ご自身と逆のタイプともいえるキャラクターを演じてみて、いかがでしたか?

久間田 楓ちゃんを演じていて気づいたのは、「私は世話を焼くほうではなくて、むしろ世話を焼かれているほうだな」と。演じる前はどっちかというと、自分は世話を焼くほうなんじゃないかな?と思っていたんですけど……演じているうちに「上にはもっと上がいるな」って(笑)。ここまで一途に相手のことを想い続けて世話を焼いてしまうところは、自分とは違う部分なんですけど、そこが楓ちゃんの魅力でもあるし、だからこそ理解したいという気持ちも生まれました。同世代の子たちとワーキャー楽しめるだけじゃなくて、誰かが悩んだ時などに、ふとポジティブなことを言ってくれるようなギャップもあって……そんなステキな楓ちゃんを演じている中で、楓ちゃんに対するハル(青山春/井上瑞稀)の気持ちも分かりましたし、こういう友達が欲しいなと感じました。

――楓を理解するのに難しい部分はどこでしたか?

久間田 20年間片思いし続けている感覚を理解するのが1番難しかったです。撮影当時、私は21歳で、もう生まれた時から好きという計算になってしまったので(笑)。正直、自分が演じるまでは、好きだったら伝えればいいんじゃないかなと、すごく軽い気持ちでいたんです。でも、実際に演じてみると、本当にそうはいかないというか……。「好き」というひと言が20年間の関係性を変えてしまうし、もしかしたら幼なじみにすら戻れないかもしれなと思うと、その重みと、言いたいのに言えない気持ちがだんだん分かってきました。

――今作はコメディ要素を含んだ映画ですが、演じる中で特に楽しかったところはありますか?

久間田 ちょっと変顔じみた表情ですね。最初のシーンの「起きろ!」みたいな感じの表情も、演じていて楽しかったです。初めて監督にお会いした時にも、「今まで見せたことのない久間田琳加を見せてください」と言っていただいたんです。中にはゴリラの声を出すようなシーンもあったんですけど、マンガを読みながら自分の部屋の鏡を使って練習して、もう全身全霊かけて楽しみながら変顔をしてました(笑)。