何が悪なのか分からなくなるぐらいゾクゾクした

――『他人は地獄だ』は韓国発のWEBコミックが原作で、2019年にはイム・シワン、イ・ドンウクで連続ドラマ化されていますが作品の存在は知っていましたか?

岡田結実(以下、岡田) 拝見したことはなかったんですが、周りのホラー好きで観ている人が多くて聞いたことがありましたし、映画の出演が決まったときも、「めちゃめちゃ流行っているドラマだよ」と言われました。オファーをいただいてから原作を読んだんですが、絵のタッチから「絶対に怖いじゃん!」というぐらいインパクトがあって。目を細めながら読み進めていくうちに、引き込まれていく感覚がありました。

――あまりホラー作品は得意ではない?

岡田 そうですね。お芝居の勉強で観ることもありますが、昼間じゃないとダメですね。特にゾンビものや血がブシャー!って出るような描写は苦手です。

――韓国のドラマや映画はホラーじゃなくても残酷な描写の作品が多いですよね。

岡田 時代についていくためにも、お芝居の参考にするためにも流行っている作品は観るようにしているんですが、たとえば「イカゲーム」なんかは本当に怖かったです。

――初めて映画の脚本を読んだ印象はいかがでしたか。

岡田 まず私が演じたメグミの視点で読んだんですが、共感しやすくて良い子だなと思っていたら、「え?こんな展開になるの」と驚きました。次に客観的に読んだら、格安シェアハウス「方舟」の住人全員のヤバさが際立って。ちょっとずつ感じた違和感が繋がったときに、誰が一番の悪で、そもそも何が悪なのか分からなくなるぐらいゾクゾクしました。その後も台本を読み返すたびに怖くなっていきました。私自身、「映像化した作品を観られるのか……」と思うぐらいグロくて、怖かったです。

――殺伐としたストーリーの中でメグミは天使のような存在です。

岡田 前半のメグミが本当のメグミで、途中からは恋人のユウが求めるメグミ像じゃないですか。だからユウが求めるメグミ像を、どれだけ心地よく作るかに主軸に置きながらも、最初のメグミをぶれさせないようにしようと思って。そこの分け方みたいなものは意識しました。

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

岡田 ホラー作品の撮影とは思えないほど和気あいあいとした現場で、皆さん良い方ばかりでした。さっきまで優しく接してくださって、いろいろ教えてくださった方々が、本番になると豹変するから、改めて役者さんはすごいなと思いました。方舟の方々との共演シーンはほとんどなかったので、私の知らないところで、どんどん人が死んでいって。でもお昼休みになると、みなさん食堂で美味しそうにご飯を食べているから、不思議な感覚でした。