オイディプス王の選択に可能性と希望を感じた
――主演を務めた舞台『オイディプス王』が約1年半ぶりの再演になります。
三浦涼介(以下、三浦) こんなに早く再演する作品もなかなかないのではないでしょうか。僕自身、今までいろんな舞台に立たせていただきましたが、再演という形で出演する機会がほとんどなくて。というのも一度やりきった、僕としてはこれ以上ないと感じたら、新しいものをやりたい気持ちが強いんです。
――なぜ今回はオファーを引き受けたのでしょうか。
三浦 初演は、とんでもない作品の主役というプレッシャーもありましたし、膨大なセリフ量でもありましたし、考えなきゃいけないこと、やらなければいけないことに追われていて、課題もたくさんあったんです。それでも、たくさんの方に支えていただいたことで、オイディプス王としてステージに立たせてもらって、千秋楽を迎えられたことは誇らしいですし、今回改めてオイディプス王として生きられるのはうれしいことです。
――初演のときは、どういう思いで舞台に立っていましたか。
三浦 お稽古期間中は精神的にも肉体的にもボロボロで、皆さんが支えてくださって何とか初日を迎えられたから、絶対にこの人たちを後悔させたくない、三浦がオイディプス王で良かったと思ってもらえなきゃ駄目だという思いが強くありました。
――『オイディプス王』はソポクレスが紀元前427年頃に執筆したとされていますが、どうして今も人々を魅了するとお考えですか。
三浦 過去に上演された『オイディプス王』を拝見していないので比較はできないのですが、僕は石丸さち子さん演出のもとでオイディプス王を演じました。僕が読んだ『オイディプス王』に関して言うと、家族や身近な友人など、大切な人を失くしたときに、残された人間が何を感じて何を考えるか。確かに悲劇だけど、オイディプス王の人間としての生きざまや、生きるということを選択したことに可能性と希望を感じたんです。それが『オイディプス王』の魅力だと思いましたし、そう演じたいと考えました。だから僕と石丸さんと二人で創ったオイディプス王は、どんな状況にあっても、最後に1ミリでも希望を残そうとしたんです。
――三浦さんにとって石丸さんはどういう存在ですか。
三浦 愛情の人だと思います。たくさん厳しいところはあるんですが、そこに愛情があるんです。とにかく演劇を愛されている人だと思いますが、役者を放っておかないというか、「私を信じて付いてきてくれれば大丈夫だから」という気概を感じます。僕を役者として、ここまで立たせてくれたのは石丸さんのおかげだし、石丸さんに出会っていなかったらお芝居をここまで好きになることはなかったと思います。過去に蜷川幸雄さんのもとでお仕事をさせていただいたときに、お芝居ってこんなに楽しいんだと思わせてもらいました。でも彼がいなくなってしまって、どうしたらいいんだろうと思い悩んでいたときに、石丸さんにお会いできて、改めてお芝居の楽しさ、厳しさ、怖さなど、様々なことを教えていただき、とにかく愛情の人だと思っています。僕から石丸さんに何か渡せているかは分かりませんが、石丸さんが叶えたい夢は、僕ができることなら叶えてあげたいと思います。