グループでは珍しい「可愛さと元気があふれる恋愛ソング」メンバーの好きなフレーズは?

――新曲『botばっか』では、レトロなディスコサウンドのイントロから一気に引き込まれて、タイトルにもある<bot>のリフレインが耳に残りました。

美雨 まさにおっしゃる通りで、昭和チックでレトロポップな、街の夜景が浮かぶようなサウンドになりました。ダンスの先生からも「昭和のリズムの取り方」を求められて、プロデューサー・Adoさんからも「昭和の曲のように母音をはっきり出し、引っかかるような歌い方」をディレクションされました。<bot>のフレーズは現代ならではの言葉ですが、レトロさや不穏さと合わせて、私たちらしいホラー要素も混ざった唯一無二のアイドルソングになっていると思います。

――ファントムシータとしては珍しい「可愛さと元気があふれる恋愛ソング」になっていますが、歌詞の中で特に印象に残っているフレーズはありますか?

凛花 <枕元で/永久に永久に永久にロンリーwithout you>のパートが好きです。主人公の女の子は表向きに誰も愛していないのに、本当は1人の相手を思って寂しがっている。皮肉のきいた歌詞だと思っていて、語感やリズムもすごくいいです。「without you」は独特なリズム感がありますし、歌っていて気持ちいいです。

美雨 私は2番の<混沌me混沌me/心にグッサリ/KIZUマーク>というもなのパート。私たち3人の歌が少しダークな音階で進んだあと、もなのパートでガラスが割れるようにバーンと明るくなるんです。そんなドタバタ感がたまらないですし、昔のアニメのようなテンションで言葉遊びとしても耳に残ります。

百花 私は1番にある<早急に早急に早急に始まりたい>のパートで、2番では同じパートなのに<so cuteにso cuteにso cuteに始まりたい>と、同じ音で英語に変わるんです。そのトリックが面白いなと思いましたし、聴く人によって解釈が分かれるのもこの曲らしさです。

もな 冒頭の2行で<一目で射止めてすっかりトリコ>のあとに、<的確輪郭大層美でしょう>と続く流れです。ここの<的確>という言葉に皮肉が効いています。「どうせみんな見た目でしょ?」という虚しさや空虚さが出ていて、惹かれました。

――歌詞に出てくる「bot」は、ChatGPTなどに代表される現代を象徴したキーワードです。みなさんとしても、身近な感覚はありますか?

もな Z世代といわれる私たちは、当たり前のようにbotがある環境で育っていますし、SNSを使っていると、リプ欄にbotが大量にいるのをよく見かけます(笑)。「便利だけど怖い」と言われながらも、「使いこなせば味方になる」とも言われる。どちらの価値観も受け取ってきたから「botばっか」という言葉には、善悪どちらともとれる多面性も感じます。