Coreは仲間というよりも、自分にとって一アーティストとしてのライバル

――今はTHE WILL RABBITS内で共通言語も多いかと思いますが、結成当時はどうやってイメージを共有していたんですか。

Novel Core そのまま口で伝えてましたね。ギターのリフとかもスタジオでマイクを通して、「ウワー!」とか言ったり、スマホのDAWで声を録音して、ギターアンプに突っ込んで歪ませたものをクマさんに送り付けたり。ドラムのフレーズも基本的に口で指示していました。

クマガイユウヤ(以下、クマガイ) あとは比喩表現とかね。

Novel Core そうそう。色とか匂いとか、同じ映像が見えてほしいんです。みんなが「夜」だと思っているだろうなと感じたら、「いや、夜じゃないんだよね。正確に言うと夜になるちょっと前の、ほぼほぼ日は落ちているけど、遠くにオレンジが見えてるくらいの時間帯で」みたいな。そういう話から入っていくんです。

クマガイ 僕は詩人で作家の向坂くじらと一緒に、「Anti-Trench」というポエトリーリーディングユニットをやっているんですが、いつも彼女が「これは海で荒立っているんだけど、めちゃめちゃ水が綺麗なんだよね」とか「そこに魚は3匹だけ」とか、そういうことを言ってくるんです。そういうオーダーに慣れていたので、それで僕もイマジネーションできるし、Coreも同じようなことを言っていたから、いろんなことが「なるほどね」とすんなり入ってきました。

Novel Core RABBITSはメンバーみんな結構それが強くない?

クマガイ 強いね。

Novel Core 映像先行というか、ドラムのHibiki(Sato)もそういう傾向が強くて。それって多分、セッションを通ってきた人たちだからだと思うんです。いろんなミュージシャンと合同で演奏して、フリースタイル的に連想ゲームのように演奏をつないでいく経験が大きいんじゃないかなと。「バンドだけやってきました」という人たちだと、そういう伝え方では、なかなかテーマを見つけるのは難しいんじゃないかな。

クマガイ 間違いないね。

Novel Core 「iCoN TOUR 2023」くらいの時期に、スタジオでリハーサルをしながら、僕が一言言って、そこからイメージを膨らませてRABBITSが演奏して、その上に僕がフリースタイルで歌を乗っけて1曲作るみたいなことを、たまにやっていて。ある日、僕が「飛行船」と言ったら、まずHibikiがドラムを叩きだして、そこにクマさんがアルペジオを乗っけてみたいなことをやったら、すごく良くて。iPhoneに保存しているので、今でも時々聴くんですけど、映画とかのサントラに使えるんじゃないかというくらいのレベルで。

クマガイ あれはいい曲だったよね。

――今はどうですか。

Novel Core かなり共通言語が増えましたし、みんなが抱く違和感の位置が似てきているのがあって。曲を作っていて、「ここのフィルが違うんじゃないか」「ここは頭が揃っていたほうがいいんじゃないか」「ギターのチューニングを変えたほうがいいんじゃないか」みたいな感じで、それぞれが、その曲に対して首をかしげるタイミングが揃ってきました。バラバラじゃなくなってきているので、違和感の正体を探ることに時間をちゃんと使えるようになってきましたね。

――ライブのステージングについてはいかがでしょうか。

クマガイ よく本人にも言っているんですが、僕はCoreがライバルだと思っているんです。Novel Coreのハウスバンドとしてやっているけど、一緒のチームにいる仲間というよりも、自分にとって一アーティストとしてのライバルだなと。フロントマンがガーっと前に行くのはあるべき姿ですが、僕のルーツであるヴィジュアル系など、これまでロックバンドに影響を受けてきた自分が目指しているものは何かと考えた時に、フロントマンの後ろにいても存在感がちゃんとある人じゃなきゃいけないというのがポリシーとしてあって。ある時にCoreが「このツアーは前に出てアクティングしてよ」と言ってくれたことがあって。それでギタリストが前に出て、ギュイーンと弾くのは誰でもできるけど、ギターを弾きながら走り回って、踊れて、それでいてちゃんと見せ場を作れるというのが自分の強みだと思うんです。ここでライバルに負けていたら、逆にCoreの成長やアーティストとしての価値を止めてしまうことにもなる。自分が前に出ることでブラッシュアップしていくことが、結果的にCoreのためにもなるし、自分のいろんなスキル向上にもつながる。「フロントマンを食ってやろう」という気持ちでやっていて、気づいたら訳が分からないことをしていることもありますが(笑)。