三浦友和さんはギアをあげないと食われちゃうなと感じました

――自信に満ち溢れているのが見た目からもより伝わるようにと。

三浦 病院で「これが家族なんてふざけるな!」と龍之介が気持ちをぶちまけるシーンがあるんですけど、それを見た時に「龍之介ができあがったね」と監督とも話をしました。あと、撮影も伊勢志摩パートと東京パートにわかれているんですけど、東京パートは後半に撮っていたので、よりいっそう龍之介の幼少期の記憶などを表現にのせてほしいとわかりやすく監督からリクエストがありました。作品としても、単純な家族の話ではなく、それを軸に6億円の真珠を巡る騒動や、成年後見制度の問題が題材にあるのですが、龍之介は物語をどんどん動かしていくキャラクターにうまくなったなという感じです。

――また、ダブル主演を務める比嘉さんをはじめ、三浦友和さんなど、作品を彩る共演者の方々もとても豪華です。

三浦 意外と皆さんとご一緒する機会はあまりなく、同じ弁護士役の小手伸也さんとずっと一緒にいました(笑)。小手さんは本当に安定感のある、ちゃんと球を返してくれる俳優さんなので、安心して演じることができました。大先輩の三浦友和さんはカメラが回ってない時はすごく優しいんですけど、カメラの前に立った瞬間、背中越しのシーンで表情も全然見えないのに、そこから発されるエネルギーがすごいんです。龍之介でいられないというか、そのオーラに押されてしまう。そこに対峙して、自信満々の龍之介でいなきゃいけないんですけども、2段階3段階グッとギアをあげないと食われちゃうなと感じました。

――対となる存在の比嘉さんとのやり取りも印象的でした。

三浦 ラストシーンは特に比嘉さんのお芝居に救われたというか、僕が考えた以上のものを引き出していただきました。遥海が気づきを与えてくれることで、龍之介の仮面がどんどん剥がれていく。すごく印象深い、いいシーンになったと思います。

――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

三浦 いろんなメッセージが詰まっているからこそ、いろんな見方、受け取り方ができる映画なのかなと。龍之介は龍之介で人間味があったり、大亀家は大亀家でまた違った問題を抱えながらも新たに一歩踏み出していく。みんなが少しずつ成長していく物語。家族愛ももちろんですけれど、成年後見制度自体を僕らの世代で知っている人間ってあんまりないと思うんです。それも知識としていい勉強になるし、真珠の養殖の方法や海洋問題などにも触れられる。キャストも全員クセのあるキャラクターなんだけど、見事にマッチしていて、バランスのいい映画になりました。