龍之介という役をただのヒールにはしたくなかった

――三浦さんは今作で城島龍之介という弁護士を演じられていますが、どういうふうに役を捉え、演じる際には何を大切にされましたか?

三浦翔平(以下、三浦) 城島龍之介は、幼いころに母親の愛情をあまり知らずに育ってきた人間で、そういった幼少期のトラウマがずっと心に引っかかり、反動でちょっと性格が歪んだ青年になってしまった。表向きはお金お金という嫌な弁護士なんですけど、その原因は幼少期のトラウマにあるわけです。二面性のある性格の持ち主で、ただ単に嫌な性格というわけではなく、龍之介自身もかわいそうな人間。ストーリーが進むにつれて、母に向かっていく気持ちや、家族、そして愛というものは何なのか、そういったことを龍之介自身が改めて感じることになる。今回、田中(光敏)監督とも一番話したのがその部分で、最初に僕はもうちょっとヒールの方に寄せてもいいんじゃないかと提案をしたんです。でも田中監督から、彼をただ嫌な人間にしたくないと。強がってはいるが結局彼も愛情に飢えている。だからこそ少しかわいそうな人間味を出してほしいとリクエストがあったので、そこを軸に役を作っていきました。

――ただの悪人ではない雰囲気は序盤からにじみ出ていましたが、三浦さんご自身でも常にそういったことを意識しながら演じられていたと。

三浦 本当の城島龍之介という人間に自分で蓋をしてしまって、相手に対して常に仮面をかぶって接しているという感じです。本当の姿は誰にも見せない。

――感情表現も含めて非常に魅入られるキャラクターでした。お話にも出た田中光敏監督といえば、以前に三浦さんが出演された映画『天外者』(2020年公開)でメガホンを取っており、ご一緒されるのは今回で2回目になります。

三浦 小松(江里子)さんと田中監督のタッグ。声を掛けていただいた時、あの2人の作るものだったら僕は出ますと、すぐにお返事をしました。

――本作における田中監督の演出などはいかがでしたか?

三浦 この作品は家族の愛と許しをテーマに作っている物語なんですけれど、いろんなところに田中監督の愛や情熱が、さまざまな人物を通して散りばめられています。監督自身は、「今だけ、金だけ、自分だけ」ではなく今だけじゃなくて未来のため、お金や自分だけじゃなくて愛する人のために。映画の中にはそういう意図がわかりやすくいろんなところに散りばめられています。ただ、舞台終わりでちょっと体重が落ちて痩せすぎていたので、撮影までにしっかり身体を戻してくれとは言われました。華奢だと龍之介に説得力がなくなってしまうので。