子どもの頃は車窓から見える大自然を眺めるのが楽しかった

――アニメ『レヱル・ロマネスク2』のオファーがあったときのお気持ちをお聞かせください。

田中理恵(以下、田中) バイノーラル録音によるASMRボイスコンテンツが先にあったので、それがアニメ化になるんだと聞いてびっくりしました。私が演じたかにこは、普段の自分のしゃべり声より高くて、かわいらしいキャラクター。だから一言一言に気を遣って録ったんです。アニメーションだと限られた時間で声を当てなきゃいけないので、どうしようというプレッシャーがありましたが、うれしい気持ちが大きかったです。

――かにこを演じるときは、どんなことを意識しましたか。

田中 かにこという名前の由来は、帽子の両脇に電気がついていて、それがカニ目に見えるからなんですけど、それを本人は気にしていて。自分の名前を呼ばれるのが嫌だから、コミュニケーションを避けていたんです。人との接触が苦手で、内気な性格なので、その辺を意識して演じました。

――『レヱル・ロマネスク2』に出て来るキャラクターは、実在する汽車や電車を擬人化したものですが、かにこは「北開道鉄道C11形蒸気機関車C11 202専用レイルロオド」です。

田中 私は蒸気機関車に乗ったことがないので、かにこを演じるにあたってネットで調べたんです。実際、C11 202は、かにこと同じでカニっぽいんですよね。あと面白かったのがキャラクター全員、食べるのが石炭なんですよ。アフレコのときは線画だったので、よく分からなかったんですけど、完成したアニメを観たときに、みんなで「石炭だ!」って言い合って(笑)。すっかり擬人化なのを忘れて、人間として見ていたんですよね。

――『レヱル・ロマネスク 2』は毎話5分程度のショートアニメーションですが、アフレコはどのように行われたんですか。

田中 大体3人ずつ録音ブースに入って録ったので、自分の出演しないシーンはスタジオから出ていたんです。なので他の方のお芝居がどういうものかを把握していなかったんですけど、オーディオコメンタリーを録るときに完成した作品を観て、こんな仕上がりなんだという驚きがありました。アフレコとは別日に、それぞれのキャラクターソングを録ったんですけど、それもアニメでは贅沢に使われていてすごいなと思いました。

――かにこのキャラクターソング「Snow Ephemeral」はどういう曲なのでしょうか。

田中 とても爽やかで、電車での旅が浮かんでくるような曲です。中でも「真っ白に続く彼方」というフレーズが印象的で、北海道を思い出します。電車旅はもちろん、散歩のときに聴くのもいいなって思いました。他の方のキャラクターソングも旅にぴったりです。