17歳で作った収録曲「ピーターパン」は思春期の集大成だった
――アイドル卒業から活動再開。シンガーソングライターとして、1st EP『spilt milk』で念願のメジャーデビューです。
矢作萌夏(以下、矢作) ファンのみなさんに届いたとき「どう思われるんだろう」と想像しながら、毎日、作品を聴いています。すべて自分で書いた曲なので、こだわりの曲が集まったEPになりました。
――普段、どのように曲を作っているんですか?
矢作 思いから歌詞を書いたあとでメロディを付けるときもあれば、コードから考えて歌詞を書くときもあるし、鼻歌で作るときもあるのでその時々によりけりです。
――楽器も弾けるんですよね。
矢作 ピアノとギターを弾きます。ピアノは年少から小学6年生まで習っていたんですけど、中学受験のタイミングで辞めてしまって。アイドル卒業のタイミングで、ソロとして音楽の道へ行こうとしたときに弾き始めたギターと共に、ピアノも再開しました。昔の感覚が残っていたし、未経験の人よりはコードもすぐ覚えられたと思います。
――EPの収録曲「ピーターパン」は、17歳で作曲をされたと。
矢作 アイドル卒業のタイミングで、今回のEPでは一番古い曲です。言い回しを少し変えた程度で、原型は当時にほぼ完成していました。思春期だったのもあり、明るい歌詞を書こうとするとありふれた曲になってしまうので「一度、暗い曲を作ってみよう」として、作った曲です。
――現在は21歳。当時の曲を聴くと、印象も変わりそうです。
矢作 作曲した当時の自分は「悩んでいたのかな」と、心配になっちゃいます(笑)。思春期ならではの嫌なことや思ったことを書き溜めたものを曲にしたので、当時の集大成です。私も大人になったし、今では書けない曲かもしれません。
――当時と比べて、大人になった自覚は?
カフェオレを飲めるようになった…のは、冗談で(笑)。嫌なことがあっても立ち止まらず、何となくやっていつの間にか時間が過ぎるようになったのは、大人になったからかなと最近思っています。
――活動再開の象徴、配信デビュー曲「Don’t stop the music」もEPに収録しています。
矢作 21歳の誕生日(2023年7月5日)にリリースするなら「どの曲にしようか?」と、スタッフさんと話し合ったんです。EP収録の「Shake it」も候補でしたけど、1曲目は「誰にでも届きやすい、みんなに寄り添える曲にしよう」と決まりました。じつは、「Don’t stop the music」は自分の嫌な部分をむき出しにした曲だったので、完成後すぐにフォルダへ封印していて…(笑)。でも、「表に出せば、自分を認められるきっかけになるかも」と思って、配信リリース後にファンのみなさんから反響もいただき、愛せる曲になりました。
――“今の矢作萌夏”が伝わる曲も、伺いたいです。
矢作 難しい…(笑)。1曲に絞るなら「アンコール」です。シンガーソングライターとしては初のソロライブ「1st Live“Rebirth”」(2023年7月5日)で披露したときは、ファンのみなさんが泣いてくださったのが印象的でした。ステージでは、アイドル卒業から活動再開まで時間がかかった申し訳なさ、再会のうれしさで涙が込み上げてきて。今伝えたい曲ですし、色々な気持ちが伝わったらうれしいです。