『舞いあがれ!』は自分の中で得たものが大きかった
――自身を持てるようになったきっかけがあったのでしょうか。
醍醐 毎現場、どこか一つでも成長したいなと思っているんですが、自分の身の丈に合ってないような、すごい現場にポンと入れさせていただくことも多いんです。この一年間を振り返っても、今回の映画もそうですし、舞台『千と千尋の神隠し』や映画『野球部に花束を』、ドラマ『シガテラ』では主演をやらせていただくなど、お芝居に触れている時間が長くて。そしたら、自分ではどこが成長したか分からないんですけど、周りから「すごく良い俳優になったね」と言われることが増えたんです。そういう言葉が自信に繋がりますし、前までは本番直前に上がっちゃうことも多くて、ベストのパフォーマンスができる状態まで気持ちが追い付かないこともありました。でも、たくさんの作品に出させていただいて、いろいろな壁を乗り越えてきた実績を自分で感じられるようになって、自信がついたというか、また一つ違うところに行けたのかなと。まだまだ、これからなんですけど、俳優として歩んできた道に間違っていることはないとポジティブに捉えています。
――2017年に「舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇〜スタートライン〜」の一般公募オーディションで主人公・小野田坂道役に選ばれ、公演の座長も務め、一躍脚光を浴びました。
醍醐 これは初舞台だったので、「どうして、こんなに大きい声でしゃべってるの?」という基本的な疑問から始まりました(笑)。しかもハンドルだけ持って、自転車に乗っているのを表現しなくてはいけないので、演出家さんのおっしゃっていることも理解できなくて。もっと素直に行けば良かったんですけど、作品の世界観に入るのは苦労しました。
――その後も『ハイキュー!!』、先ほどお話に出た『千と千尋の神隠し』と、マンガ・アニメの舞台化作品に出演していますが、どんなことを意識しています。
醍醐 原作・アニメのファンがいるので、そこを裏切るようなことはしたくないですし、原作・アニメにリスペクトしつつも、真似するだけだと、僕が演じる意味がないなと。そのバランスを探るために、引き算足し算をいっぱいするようにしていますが、常にプレッシャーはありますね。
――ターニングポイントになった作品を一つ挙げるとしたら何でしょうか。
醍醐 『舞いあがれ!』は大きかったですね。朝ドラ出演は自分の中で一つの目標でしたし、同世代の役者たちが集まっていたので、たくさん刺激を受けました。改めて役者としてスキルを磨かなきゃいけないという気持ちが強くなりましたし、自分の中で得たものが大きかったです。
――最後に改めて『女子大小路の名探偵』の見どころをお聞かせください。
醍醐 サスペンスなので一緒に推理するような感覚で観ていただきたいですし、姉弟愛のお話でもあるので、映画を通して家族との絆や愛情に触れて、優しい気持ちになっていただけたらうれしいです。あと全面的にロケーション協力をしてくださった名古屋と岐阜ならではの良さが詰まっているので、そこにも注目してください。
Information
『女子大小路の名探偵』
好評公開中!
剛力彩芽 醍醐虎汰朗
北原里英 今野浩喜 堀夏喜(FANTASTICS from EXILE TRIBE) 小沢一敬 水野 勝
寺坂頼我 柳ゆり菜 ゆきぽよ / 遼河はるひ
田中要次 戸田恵子
監督:松岡達矢
原作:「女子大小路の名探偵」(秦建日子著・河出書房新社)
脚本:秦建日子(『アンフェア』<刑事 雪平夏見>シリーズなど)
©2023 映画『女子大小路の名探偵』製作委員会
女子大小路のバー「タペンス」でバーテンダーのバイトをしていた大夏(醍醐虎汰朗)は、ストーカーの疑いをかけられたのをきっかけに児童相談所の職員・秋穂(北原里英)と知り合う。だが、彼女が自宅にお詫びのケーキを取りに戻っている間に、彼は中区の矢場公園でコスプレの衣裳を着たまま心肺停止状態の中学生・佐野あすかを発見。あすかは秋穂が担当していた少女だったが、同じ中学生の山浦瑠香の死体が中区で発見されてから3日後だったこともあり、大夏は連続殺人事件の容疑者として警察に連行される。そんな彼の窮地を、柳ヶ瀬のクラブ「グレース」で働く姉の美桜(剛力彩芽)が救う。会うといつもいがみ合ってばかりいる姉弟だったが、やがて事件の鍵を握る「タペンス」の客“ヤマモト”(堀夏喜)と接触し、山浦瑠香を殺害した犯人に辿り着く。しかし……。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMSA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:Yusuke Kasuya(ADDICT_CASE),STYLIST:MASAYA (PLY)