高梨優佳は人見知りで、なかなか初対面では自分から行くことができない

――みなさん映画『ラスト17デー』の出演はオーディションで決まったそうですが、高梨さんは映画初出演にして初主演でした。

高梨優佳(以下、高梨) 最初は「え?私なんかで本当にいいの?」という不安やプレッシャーがありました。それと同時に、翔鈴ちゃんを始め、今までお仕事を一緒にしてきた子たちも出演するし、撮影期間にたくさん刺激をもらえるんだろうなという楽しみも大きかったです。

――脚本を読んだ印象はいかがでしたか。

石川翔鈴(以下、石川) 私たち主要メンバーは全員、高校を卒業しているので、久しぶりに制服を着たのですが、高校卒業して何年か経っていても、共感できる部分が多くて、学生の心にすーっと戻れる脚本で、すごい共感性が高いなと思いました。

――3人で面識があったのはどなたですか。

石川 高梨・石川、木村・石川と、私が二人ともお仕事でお会いしていました。優佳ちゃんと魁希くんは初めましてだったよね。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

高梨 翔鈴ちゃんと(吉田)翔くんが会話をリードしてくださったので、ずっと現場の雰囲気は明るかったです。

石川 撮影に入る前の本読みで、優佳ちゃんが自分の影を消すかのように一言もしゃべらず、会話に入ってこなくて。帰りに「優佳ちゃんって人見知り?」って聞いたら、「かなり……」って答えで。でも男子メンバーが、みんなを引っ張ってくれて、自然と優佳ちゃんも心を開いて、だんだん打ち解けていきました。空き時間にみんなで落書きをしたりして、徐々に仲良くなって絆ができていく感じがすごく見えました。

木村魁希(以下、木村) 翔くんが主要メンバーの中で一番年上なんですけど、「敬語をやめよう」ということで、撮影期間中はタメ口で話し合って、名前も“さん”付けじゃなく、“くん”付けで呼んで。そういう距離の詰め方みたいなところは最年長の翔くんに頑張ってもらいました。

――高梨さんは初顔合わせのときは、いつも人見知りするほうなんですか。

高梨 お仕事ではいつもそうですね。話しかけてくだされば、しゃべれるんですけど、なかなか自分から行くことはできなくて。ただ年下の子が多いとか、自分よりも明らかに人見知りの人が多い現場だと、自分から行けるんです。でも基本的にみんなにリードしてもらっていますね。

――国際学院高等学校で撮影したシーンもあったそうですね。

石川 学校に行っての撮影は一日だけだったんですけど、実際に生徒さんがいらっしゃって。

木村 二人のキャーキャーの言われようはすごかったですよ。さすがって感じでした。

石川 いやいや、魁希くんへの黄色い歓声もすごかったです!授業中に私たちを見かけた生徒さんが教室の中から声を上げちゃって、先生が注意するみたいな場面が何回かあって。私たちも、なるべく授業中は外に出ちゃいけないみたいなルールができて。お手洗いなどに行くときは、隙間から覗いてタイミングを見計らっていました(笑)。学校の生徒のみなさんもエキストラとして参加してくださったんですが、カメラが回ると、みなさんもプロの顔になっていたのが印象的でした。

――それぞれ役作りでどんなことを意識しましたか。

高梨 私が演じた細谷くるみはマイナス思考なんですが、ちょっと私にも似たところがあって。先ほどお話した通り人見知りで、ネガティブなところがあるんです。だからこそ、すーっと入っていきやすかったですし、キャピキャピしているというよりは、ちょっとワントーン落として客観視しているみたいな。あと普段のくるみは、どういう生活を送っていて、どんな友達がいてみたいな、台本には書かれていないストーリーも想像しながら演じていました。

――木村さんは、くるみの幼馴染の橘直樹を演じました。

木村 脚本を読んだときに、どこにでもいるような男の子で、普段しゃべっているのを見たことがないタイプという印象を受けました。だから、踏切を渡る老女を助けたことで一躍有名になったことに戸惑っているんだろうなと。どうして、多くを語らないのかなと考えたときに、直樹は自分の世界があるんだろうなと思ったんです。ただ劇中で関わるのはくるみぐらいなので、どちらも無口だと同じような雰囲気になってしまう。だから無口さの対比というか、くるみとのテンション感の違いや、周りに流されない深みみたいなものを意識しました。

――直樹は人助けをしたことで、多くの人から注目を集めて、本来なら調子に乗ってもいい状況ですよね。

木村 そこは僕と真逆です。自分なら調子に乗りまくるでしょうし、そもそも注目されたくて芸能のお仕事をやっているところもあるので(笑)。

――石川さん演じる若山綾乃は、くるみと同じ新聞部ですが、くるみとは対照的に場を明るくするタイプです。

石川 実は綾乃の明るいキャラクターって新聞部の中だからこそ存在しているもので、それ以外の人と接するときは、ポジティブさや人当たりの良さを発揮できないタイプなんですよね。だから普段は消極的で自分に自信がないんですけど、小さい頃から続けてきて人生をかけてきたピアノには自信があって、それについて話すときは目が輝く。そういう明るく作る部分と、自信なさげに壁を作る部分を、しっかり演じ分けようと思いました。ただ新聞部の中で、くるみと翔くん演じる河北悠斗は比較的落ち着いた静かなタイプなので、綾乃まで静かになると新聞部がどよーんとしちゃう。だからテンションが高いわけじゃないけど、ムードメーカー的な役割を意識しました。