「ドラフトキング」でムロツヨシさんから学ぶことが多かった

――事務所に所属するまで、お芝居のレッスンなどを受けたことはあったんですか?

兵頭 一切受けたことがなかったんです。合格したら映画に出られるオーディションだったので、いきなり『五億円のじんせい』という映画で俳優デビューをして。その後、幾つかの作品に出させていただき、戦隊モノのオーディションを受けて、2019年に「騎士竜戦隊リュウソウジャー」のカナロ/リュウソウゴールド役が決まりました。

――実践でお芝居を学んでいったんですね。

兵頭 何も分からない状態からのスタートで、台本の読み方も分からないし、香盤の意味も分からない。もしかしてデビュー前にレッスンを受けていたら、もっとお芝居が上手だったかもしれません。ただ『五億円のじんせい』の撮影で、西田尚美さんや望月歩、同じ事務所の山田杏奈など、いろんな役者さんが目の前にいて。ちょっと前まで素人だった僕にも、この人たちのお芝居がすごいのは分かりましたし、自分との差を感じて、「俺は何もできないんだ」と打ちのめされました。ただお芝居って勉強すればいいというものではなく、現場で実際にお芝居をしながら、「こういう感情になるんだ」と感じることも大切なんですよね。そのためにも普段から、いろんな経験をするようにしています。

――約一年に渡る「騎士竜戦隊リュウソウジャー」の撮影では得難い経験もあったかと思います。

兵頭 学校みたいにいろんなことを学ばせていただきました。カメラの前に立つこと、スタッフさんとの関わり方、挨拶はこうやってする、メイクをした後は寝ないなど、お芝居以外のことも一つひとつ教えてくれて。アフレコもアクションも経験させていただきましたし、あそこまで一つの役を突き詰める機会も滅多にないので、僕のお芝居の土台になっています。

――それ以外でターニングポイントになった作品はありますか?

兵頭 ドラマ「ドラフトキング」です。主演のムロツヨシさんから学ぶことがたくさんあって。具体的に「こういう風にお芝居をしたほうがいいよ」みたいなことは絶対に言わない方なんですが、現場での佇まいを見ているだけで勉強になるんです。キャストさんとスタッフさん一人ひとりに優しくて、いつも楽しそうに話していて。僕のような若い俳優にも丁寧に接してくれて、プライベートでもご飯に連れて行ってもらいました。ムロさんのように、真ん中にいる俳優になりたい、後輩から見ても「素敵だな」と思われる人になりたいという目標ができました。「ドラフトキング」ではピッチャーを演じましたが、同じ野球が題材のドラマでいえば、「下剋上球児」の出演にも繋がっていると思いますし、いろいろと僕を変えてくれた作品です。

――最後に今プライベートでハマっていることを教えてください。

兵頭 料理です。自粛期間中に始めたんですが、体にも良いし、作っている時間も楽しいんですよね。昨日も、ほうれんそうのおひたし、オニオンスープ、肉じゃがを作りました。家で過ごす時間を充実させると、心にも余裕ができるし、有意義に時間も使える。その一つが料理なんです。

Information

『18歳のおとなたち』
2024年3月1日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開

兵頭功海 三原羽衣 黒田昊夢 久田莉子
黒田アーサー 金子みひろ 阿部亮平 デビット伊東
奥野太陽 東瑞輝 上野山夢輝(子役) 長谷川晏(子役)
中島知子 雛形あきこ

監督・編集:佐藤周
脚本:磐木大
音楽:四月の魚
主題歌「ぎんいろをふりまきながら」(作詞:福留瞬 作曲:吉村彰一 歌:サブリナ)
©ゴールデンシネマ

少年院で18歳を迎えた不良の成田誠(兵頭功海)は、女手一つで育ててくれた母(中島知子)とケンカして以来、 家にも帰っていない。 そんな誠の前に突然「成人式の実行委員になって欲しい」と、教育委員会の職員・山田菜摘(久田莉子)が現れる。最初は断る誠だが、幼い頃の夢を思い出し、「映画を作れるなら」と実行委員を承諾。引きこもりのカケル(黒田昊夢)、インフルエンサーのスイ(三原羽衣)ら同級生を巻き込み、勢いだけで初めての映画制作に乗り出すのだが……。親とのすれ違い、友人との確執など、各々が抱える問題に向き合いながら、大人と子どもの狭間で揺れ動く新成人。果たして、無事に成人式で映画を上映することができるのか。

公式サイト

兵頭功海

1998年4月15日生まれ。福岡県出身。2018年、GYAOとAmuseが共同実施したオーディション、第1回「NEW CINEMA PROJECT」の「出演者」部門でグランプリを受賞。そのプロジェクトの作品映画『五億円のじんせい』で俳優デビューを果たすと、「騎士竜戦隊リュウソウジャー」にカナロ/リュウソウゴールド役で注目を集めた。近年の出演作に、ドラマ「ブルーバースデー」(2023/カンテレ)、「ドラフトキング」(2023/WOWOW)、「ドロップ」(2023/WOWOW)、「CODE-願いの代償-」(2023/YTV・NTV)、「下剋上球児」(2023/TBS)、「となりのナースエイド」(2024/NTV)、映画『レッドブリッジ』『レッドブリッジビギニング』(2022)、主演映画『消せない記憶』(2023)など。

PHOTOGRAPHER:YASUKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:MANAMI KIUCHI,STYLIST:SHINYA TOKITA