ニコモを通してファンの子たちと出会えたのが一番うれしいこと

――キャリアについてお伺いします。どういう経緯で「ニコラモデルオーディション」を受けたのでしょうか。

濵尾 小さい頃から芸能界への憧れはあったんですけど、あまり自覚してなくて。中学に入学したときに、初めて話した友達が突然、「ニコラモデルオーディションをやっているから応募しなよ」って声をかけてくれたんです。そのときに心の奥にあった芸能界の憧れを自覚して、こっそり受けてみようと、誰にも言わずに応募しました。そのときは勧めてくれた友達にも言わなかったです(笑)。

――応募する前から『nicola』は読んでいたんですか?

濵尾 中学生になって、ちゃんとファッションを勉強したいなと思って、ちょうど『nicola』を読み始めた翌月に、ニコラモデルオーディションを勧められました。

――初めてのオーディションでいかがでしたか。

濵尾 中学生ながらにすごい経験をさせてもらっているなと思って、本当に緊張しましたけど、「やるなら頑張りなさい」って家族も応援してくれていたので、絶対に受かってやるぞという気持ちでした。

――舞台度胸はあるほうだったんですか。

濵尾 もともとはなかったんですけど、小学校のときの担任が熱血で、「ソーラン節フェスティバル」などの大会があると、生徒を参加させる先生だったんです。そのときの経験を通して、自分から行動すると良いこともあるんだと知って、自分から飛び込んでみようという気持ちが芽生えました。

――ニコモの活動はいかがでしたか。

濵尾 最初はとにかく楽しいという気持ちだけだったんですけど、誌面にたくさん登場したいという欲も出てきて、もっとかわいくならなきゃ、もっと自分磨きをしなきゃと頑張るようになりました。アンケートも寝る間を惜しんで全力で書いていましたね。ファンの子たちも同年代が多いので、みんな友達みたいに応援してくれて、SNSにもたくさんコメントをくれていたので、ファンの子たちと出会えたのが一番うれしいことでした。

――ニコモの活動を始めた当初から、お芝居をやりたい気持ちはあったんですか。

濵尾 ニコモになったのと同時に、いつかやりたいと思っていました。漠然と女優さんに憧れていたんですが、舞台版の『水深ゼロメートルから』を経験してお芝居や、いろいろなものに出会って、新しい景色が見えることの楽しさに気付きました。

――学校との両立はいかがでしたか。

濵尾 学校が終わって、すぐにオーディションや撮影に行って、家に帰ってから宿題やるみたいな日々を送っていたので、最初は本当に難しかったです。途中から人に頼ってもいいんだと気づいて、それからは少し楽になりました。たとえば『nicola』のアンケートも、内容は言っちゃ駄目なんですけど、「今気になっているメイクはある?」みたいな感じで友達に聞いて。そうやって情報集めをすることによって、自分だけの考えではなく、新しい意見も取り入れることができました。

――高校1年生のときはニコラ生徒会副会長も務めています。

濵尾 みんなをまとめてくれて、編集部とニコモの会話の架け橋になってくれていると仰ってくださって、編集部の方々が選んでくださいました。

――そういう役割は意識していたんですか。

濵尾 特に意識はしていなかったんですが、その場を楽しくしたいという気持ちもありますし、編集部の方々やニコモのみんなと喋るのも大好きだったので、いろんな人とコミュニケーションを取るようにしていました。

――高校卒業後の進路は早い段階でお仕事に集中すると決めていたんですか。

濵尾 いろいろ迷いました。美容が大好きなので、エステを学んだらお仕事にも役立つかなとか、幾つか選択肢があって。ぐるぐるしながらも、お芝居のお仕事をするたびに楽しかったですし、今はこれがやりたいんだと思ってお仕事一本にしました。

――『水深ゼロメートルから』以外で、ターニングポイントになった作品を挙げていただけますか。

濵尾 昨年7月に、紀伊国屋ホールで『幾度の群青に溺れ』という舞台に出演させていただきました。私にとって大きな舞台だったので、すごく緊張もしましたけど、演出の中島庸介さんからの一言が心に残っていて。私は変に真面目な部分があるので、台本を何度も読み直しながら、どこかに「セリフを完璧に言いたい!」という気持ちがあって、それが自分の中で違和感になっていたんです。それを中島さんが見抜いてくださって、本番前日に「とにかく頭を真っ白にして、ステージ上に立ってみて」と仰ってくださいました。その言葉をいただいたことで気持ちも楽になって、舞台上で感じたことをお客さんに伝えられたと実感できました。「頭を真っ白にしよう」というアドバイスは、今でも思い返しながら撮影に臨んでいます。

――今後やってみたい役柄はありますか。

濵尾 これまでは高校生や大学生など同年代の役柄が多かったんですが、今年1月で20歳になったので、いろいろな職業の役をやってみたいですね。『水深ゼロメートルから』で言うと、山本先生みたいな先生役もやってみたいです。

Information

『水深ゼロメートルから』
新宿シネマカリテ・下北沢K2ほか全国順次ロードショー中

濵尾咲綺 仲吉玲亜 清田みくり 花岡すみれ
三浦理奈 さとうほなみ

監督:山下敦弘
脚本:中田夢花|脚本協力:小沢道成
原作:中田夢花 村端賢志 徳島市立高等学校演劇部
制作プロダクション:レオーネ|製作幹事:ポニーキャニオン|配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
🄫『水深ゼロメートルから』製作委員会

高校2年の夏休み。ココロ(濵尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は体育教師の山本(さとうほなみ)から、特別補習としてプール掃除を指示される。水の入っていないプールには、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。渋々砂を掃き始めるふたりだが、同級生で水泳部のチヅル(清田みくり)、水泳部を引退した3年の先輩ユイ(花岡すみれ)も掃除に合流。学校生活、恋愛、メイク……。なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく。

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濵尾咲綺

2004年1月12日生まれ。神奈川県出身。「第20回ニコラモデルオーディション」でグランプリを受賞し、雑誌『nicola』専属モデルとしてデビュー。2018年、『あのコの、トリコ。』で映画初出演。2023年公開の映画『パラシファイト』でヒロインを務める。主な映画出演に『L♥DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019)など。2019年から続く「NHK高校講座 ビジネス基礎」(NHK E・ラジオ第2)にレギュラー出演。

PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI